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酒粕の効果 -発酵の基本知識-(54)
酒粕はお米から出来ています。
しかし、お米とは全く異なる味や旨味などの風味、加え、栄養素も格段に上がっています。
発酵の過程で働く酵母菌が旨味成分であるアミノ酸を爆発的に増やし、その数は米の583倍にもなり、ヒトが体内で生成できず、食物でしか摂取できない必須アミノ酸の9種類がすべて含まれているのです。
そのほかにビタミンB2は26倍、ビタミンB6は47倍にもなり、腸内デトックスに重要なレジスタントプロテインとタッグを組むことにでさらにパワーアップする食物繊維、ターンオーバー能力を増強し肌トラブルだけでなく、しみやしわの予防になるナイアシン、妊娠中に胎児の重要な成分である葉酸も豊富に含まれています。
レジスタントプロテインが豊富に含まれていることも含め、近年では酒粕の成分や健康効果への研究は盛んに行われています。
酒粕の多様な健康効果
がん抑制効果
愛媛大学医学部奥田教授の研究結果により、酒粕がリンパ球のガン細胞を殺す作用(NK活性)を強める、NK細胞の活性促進物質がある事が明らかにされました。
生活習慣病、成人病予防効果
酒粕にはインシュリン様の物質が存在することが上記、奥田教授により明らかにされ、糖尿病の治療に役立つことが期待されています。また悪玉コレステロール値を下げる効果もありますので、心筋梗塞、動脈硬化予防効果、高血圧抑制効果、脳梗塞予防効果もあり、骨粗しょう症予防効果など現代人が抱えるさまざまな病気に対しての研究が現在も行われています。
アレルギー体質の改善
アレルギーやアトピー性皮膚炎、花粉症は、カテプシンBという酵素に作られる免疫グロブリンが原因で引き起こされます。このカプテシンBの働きを阻害するペプチド物質が酒粕には含まれていると秋田大学名誉教授、滝澤行雄博士の研究により報告されています。
美容への効果
美白・アンチエイジングにも
シミ・ソバカスの原因である物質を抑える遊離リノール酸やアルブチン、フェルラ酸などが酒粕には大量に含まれています。
また、原料である麹には化粧品にも使われることで有名なコウジ酸も豊富に含まれており、高い美容効果が望めます。
コウジ酸には抗糖化作用があり、シワ予防効果があります。
また、炎症作用がありニキビそのものやニキビ痕の色素沈着にも効果があります。
酵母による保湿効果も高く、先の美白効果との相乗効果によりニキビ痕やニキビ痕にも安心して使用することができます。また、メラニンの生成を抑える効果がありますので、長時間日差しを浴びてしまったときなどは酒粕を使用したパックを活用してみましょう。酒造りの蔵人は手が綺麗といわれるのはこれらのことからと考えても間違いありません。
酒粕の栄養効果
豊富に含まれるアミノ酸
酒粕には発酵過程で生まれるアミノ酸が豊富です。
アミノ酸は近年、和食においてのうまみの「もと」として注目されている成分です。
また、酒粕には酵母菌が億単位で含まれており、この酵母にもアミノ酸が含まれ、さらなるうまみ成分が含まれているのです。
このアミノ酸はかつお節のイノシン酸や昆布のグルタミン酸、キノコ類に含まれるグアニル酸などの天然のだし素材と組み合わせることで「うまみの相乗効果」が得られ、うまみが格段にアップします。
食事の際のお味噌汁にスプーン1杯加えることで健康効果だけでなくうまみも増え、手軽に取り入れることができます。
アレルギー対応の食材に応用が可能
酒粕は植物性食材とも相性が良く、調味料としても活躍します。
たとえば、通常ホワイトソースを作るのには小麦粉を使用しますが、小麦粉の代用として、米粉と酒粕、牛乳の代用として豆乳を組み合わせば、バターも牛乳も使用しない、ローカロリーでヘルシーなホワイトソースを作ることができます。
また、酒粕をオーブンで焼く事でチーズのような風味になることから、粉チーズの代用としてもよく使われています。
注目の成分、レジスタントプロテインが豊富
レジスタントプロテインは今最も話題の健康成分です。
タンパク質の効果の一つで、酒の醸造過程で生まれます。
発酵することで米よりも凝縮して含まれ、胃で消化されにくく、腸まで届き食品の油や脂質を吸着し、便となって排出されます。
その効果は同じように脂質の吸着効果が期待されているセルロースという食物繊維の効果を上回ります。
レジスタントプロテインが油分を吸着し便に混ざることで便が柔らかく排出されやすくなり、便通が改善した例も報告されています。
また、悪玉コレステロール値を下げる研究データも発表されています。