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主な日本の発酵食品 -発酵の基本知識-㉕

日本は世界でも有数の発酵大国

日本は世界的に見ても発酵食品大国であり、発酵食品を生産するのに最適な条件が揃っています。

一年を通して四季があり、微生物が生育するための湿度、温度変化が最適な状態で、海の海産物、山の野菜類など食材の種類にも富んでいます。

古来からその土地で保存食を作る技術が発展し、日本には世界に類を見ない程の発酵食品の数が存在しています。

得に漬物に関しては、数百種類はあるといわれ、その数はまだまだ市場に出回っていないものもたくさんあります。

日本の主な発酵食品といえば、やはり味噌や醤油や漬物ですが、その他にも鮒鮓などの熟鮓、北陸地方の魚の糠漬けなど郷土料理としての発酵食品の多くはその土地で作られる海産物や農産物などから作られます。


日本を代表する発酵食品のカギは麹

発酵食品は主に大きく分けて、味噌や醤油などの調味料と酒などの嗜好品に分けられ、その発酵食品の多くは、麹を用いて作られます。

麹とは、蒸した米、麦、大豆などに麹菌を繁殖させたもので、殆どの日本の発酵食品はこの麹を用いて作られています。

麹を使用した発酵食品は、味噌、醤油、酒、酢、みりんなどがありますが、そのほかに代表的な発酵食品には、納豆や魚醤、鰹節などがあります。


代表的な日本の発酵食品

<味噌>

  • 米味噌

  • 麦味噌(九州地方)

  • 豆味噌(東海地方)

  • 嘗め味噌(金山寺味噌など)

  • かんずり(新潟の名産、辛味調味料)


<醤油>

  • 濃口醤油

  • 淡口醤油(関西地方)

  • たまり醤油(東海地方)

  • 再仕込み醤油(中国地方)

  • 白醤油(東海地方)


<魚醤>

  • いしる(北陸地方)

  • しょっつる(秋田県)

  • いかなご醤油(香川県)


<酢>

  • 米酢

  • 穀物酢

  • 果実酢

  • 粕酢(または赤酢)

  • 黒酢(九州)


<酒>

  • 清酒

  • みりん

  • 焼酎

  • 甘酒(酒粕利用・麹甘酒)


<納豆>

  • 納豆(大粒、中粒、小粒、ひき割り、黒豆、つぶ割、青豆)

  • 干し納豆

  • 五斗納豆(山形県)

  • 塩辛納豆(大徳寺納豆、浜納豆、寺納豆 ※麹菌による発酵)


<豆腐>

  • 豆腐よう(沖縄県)


<漬物>

  • ぬか漬け

  • 麹漬け

  • すぐき漬け(京都府)

  • すんき漬け(長野県・木曽地方)

  • 粕漬け(奈良漬けなど)

  • わさび漬け(静岡県、山梨県、長野県、東京都奥多摩、島根県)

  • からし漬け


<魚の発酵食品>

  • 鰹節

  • くさや(伊豆諸島)


<塩辛>

  • イカの塩辛

  • ウニの塩辛

  • 酒盗(高知県、鹿児島県・鰹、鮪、鮭、鯛、秋刀魚などの内臓の塩辛)

  • このわた(海鼠の内臓の塩辛、日本三大珍味のひとつ)

  • めふん(北海道・オスの鮭の腎臓の塩辛)

  • うるか(岐阜県、島根県、大分県、熊本件・鮎の塩辛)


<魚の糠漬け>

  • へしこ(福井県・鯖の糠漬け)

  • こんか漬け(石川県・魚の糠漬けの総称)

  • ふぐの卵巣の糠漬け(石川県)


<熟鮓>

  • 鮒寿司(滋賀県)

  • かぶら寿司(石川県)


<茶>

  • 富山黒茶(富山県)

  • 碁石茶(高知県)

  • 石槌黒茶(愛媛県)

  • 阿波番茶(徳島県)


ここに挙げたものはごく一部ですが、このように普段なじみのある発酵食品から、耳慣れないものまで、実に無数の発酵食品が日本には存在しています。

発酵食品は伝承料理でもあり、現代では、消費量と人口の減少により、衰退し、その製法が途絶えてしまいかねない発酵食も多数あり、懸念されています。

旅行などでその土地に訪れた際は、歴史と文化を知る手段として郷土料理とともに、その土地の発酵食品を積極的に味わいたいところです。

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