セルフメディケーションの日
昨日までは何とも思わなかったのに、一度気になるともう切らずにはいられなくなるのが、爪と髪の毛。
昨日までは何とも思わなかったのに、突然に許容範囲を超えてくる。「わー!伸びてる!切りたい!切らねば!」と、気がついてしまったらもうダメ、切らないと気が済まない。それが爪と髪の毛だ。
爪はすぐに切ってしまえばいいから問題ないが、髪の毛はそうもいかない。
手帳と睨み合いながら、自分の予定と家族の予定を照らし合わせ、担当の美容師さんの空き状況を確認して、予約が取れたのは2週間後。
2週間はなかなか長い…かと思いきや。
なんだかんだと日々の予定をこなしていたら、ラッという間に2週間が経った昨日、髪を切ってきた。あースッキリした。
ここ1年半ほど髪を切ってくれている美容師さんは、猫みたいな人だ。一応、性別としては男性なのだろうが、初めてお会いしたときから「猫みたいだな」と感じている。
特に男性らしさも、かといって女性らしさも感じられなくて、言ってみれば「中性的」なのかもしれない。
でも、そうじゃないんだよな。
「中性的」なんじゃない。あの人は猫だ。
いやもちろん猫ではないんだけど。
猫と一緒にいるような錯覚を起こしてしまう空気を持った人なのだ。
基本的に無言で髪の毛を切ったり染めたりしてくれるが、ときどき急に話しかけてくる。独り言を言うみたいに、まったくお腹に力が入っていない声量で。猫が、ふいにそばに寄ってきて「二ャアー」と鳴くみたいに。
猫さんとは、はウォーキングデッドの話で少し盛り上がったのだが、その話をしながら私はチラッとカレンダーで西暦を確認した。
2024年の11月。いま日本で、ウォーキングデッドの話で盛り上がってるのはこの空間だけじゃないかなーなんて、野暮なことを考える自分が嫌い。
ラストのシーズン11まで観終わったらしい猫さんに、次来るときまでに全部観ておきますと約束したから、まだ観ぬ残り6話を観なければならなくなった。でももうストーリーをすっかり忘れてるから、シーズン10あたりから復習しなきゃいけないのではないだろうか…。
すっかり丸くなったニーガンがつまんなくて、観る気が失せとるんよな…。
ネタバレ記事を見かけたこともないので、本当に結末がわからないウォーキングデッド。2024年のうちに最後まで観るというノルマができてしまった。
めんどくさいな…
肝心の髪の毛は、「オジサンに間違われないギリギリのラインでカッコいいショートにしてください」とオーダーして切ってもらった。
ここ数年はかなり短いショートヘアにしているけど、そうするとオジサンみたいなオバサンにならないように気をつけなければならない。オバサンは、気を抜くとオジサンに見えてしまう恐れがあるのだ。
そのため、出かけるときには大きめの可愛いピアスをしたり、しっかりめにリップを塗ったりしている。ショートヘアにするまでは全く履くことがなかったスカートも、同じ理由(オジサンに間違えられないように)で履くようになった。
薄汚れたジーパンを履いて黒の大きめダウンを羽織って靴を買いに行ったとき、店員さんに「ニューバランスの25cmのやつが欲しい」と伝えたら思いっきりメンズのコーナーに連れて行かれたあの日から。これはちゃんとせなあかんなと、思ったのだ。
私はオジサンではない、オバサンだ。
カットとカラーのついでにヘッドスパまでやってもらって、軽くなった頭でルンルンしながら美容室を出て、近くにあったUNIQLOへ。
期間限定で1,000円も安くなっている、ヒートテックのジョガーパンツを2枚買った。2枚とも同じ色。これはこの冬、幼稚園の送迎とパートに行くときのユニフォームとして履き倒す予定だ。結局普段着はそんな感じなのだが、赤くて濃いめのリップと可愛いピアスをしていればオジサンには見えないはずだ。たぶん。
UNIQLOを出たのが14時過ぎ。
さすがに腹ペコだったので、ランチは寿司を食べることにした。私はいつだって寿司が食べたい。
駅前の立食いの寿司屋さんに入ると、みんな昼間っから立ち飲みしていて楽しそうだった。ついうっかり「生ひとつ」と言いそうになったが、幼稚園へ車でお迎えに行く日なので我慢してノンアルコールビールを頼んだ。偉い。
寿司が食べたいと言うわりに、ずらっと並んだメニューから何を食べようか考えるのが面倒で「季節の7貫盛り」というやつを頼んだ。写真に5貫しか写っていないのは、撮る前に食べたから。
あとの2貫は、何らかの白身と、何らかの貝だった気がするけどもう忘れた。ヒトは忘却してこそ新しい知識を得るのだ。
追加注文したうなぎ。
ヒラメも追加注文したけどやっぱり撮る前に食べた。
あら汁も注文したら、外国人の店員さんに「スミマセン、アラジルはヤマデス」って言われ面白かったけど、裏でパイセンに「ヤマはお客さんには使わないで!」って叱られてた。まあそうだろうけど、難しいよねえ…日本語。頑張れ!と心の中でエールを送った。
そんな感じで、合計9貫でフィニッシュ。
滞在時間20分。
サッと食べられてすぐに帰れるのも安い寿司屋のいいところ。
髪も切ったし、買い物もしたし、寿司も食べて最高な1日だった。
自分がやりたいことやって、食べたいもの食べて。みんなが月に1日ぐらい、こういう日を積極的に作ることで世界平和へとつながると思う。
いやマジで。