プラシーボ効果【The Placebo Effect】
みなさんは「プラシーボ効果」をご存知ですか?
「プラシーボ効果」は思い込みの一種で、
実際は薬ではない偽薬を投与したにも関わらず、本物と信じている(嘘を教えられている)被験者は、症状が和らぐなど効果が出るものです。
A placebo is anything that seems to be a "real" medical treatment -- but isn't. It could be a pill, a shot, or some other type of "fake" treatment. What all placebos have in common is that they do not contain an active substance meant to affect health.
元々は、医療用語ですが、医療以外にも様々な効果が確認されています。
英語では、The Placebo Effectですが、元々はラテン語です。
Placebo originally comes from the word “placere” in Latin.
This word means "pleasure"
以下のような実験が行われているようです。
①薬の値段の実験
アメリカで電気ショックの実験を行った話があります。被験者を2つのグループに分けて、電気ショックの痛みを和らげる薬を投与する、という実験がありました。1つのグループには「1錠たった10セントの薬」と説明し、もう片方には「2ドル以上もする新薬」と説明しました。……が、実はどちらも偽薬だったのです。
結果として、「新薬」と説明されたグループの方が痛みの軽減効果が大きかったとされています。「高い薬の方が良く効く気がする」という感覚、みなさんにもあるのではないでしょうか?
②うるしの実験
「うるしに触るとかぶれる」は有名な話ですよね。それにまつわる実験で、2つのグループに分けた被験者に「うるしの葉」と「栗の葉」を触らせるというものがありました。しかし、うるしを触らせたグループには「栗の葉」と、栗の葉を触らせたグループには「うるしの葉」と、逆に説明しておいたのです。
驚くことに、栗の葉を触ったグループに発疹が出て、うるしの葉を触ったグループには何もなかったという結果になっています。どこかで試してみたくなってしまいますね。
③喘息の実験
In one study involving asthma, people using a placebo inhaler did no better on breathing tests than sitting and doing nothing. But when researchers asked for people's perception of how they felt, the placebo inhaler was reported as being as effective as medicine in providing relief.
喘息の実験では、症状に回復が見られたわけではないですが、被験者は楽になったと感じたそうです。
④片頭痛の実験
A 2014 study led by Kaptchuk and published in Science Translational Medicine explored this by testing how people reacted to migraine pain medication. One group took a migraine drug labeled with the drug's name, another took a placebo labeled "placebo," and a third group took nothing. The researchers discovered that the placebo was 50% as effective as the real drug to reduce pain after a migraine attack.
この実験では、被験者は3グループに分けられました。
①本物の薬 ②「Placebo」と書かれた薬 ③何も飲まない
結果として、Placeboと書かれた薬を飲んだ被験者は本物の薬を飲んだ被験者の50%効果が見られたそうです。
つまり、被験者自身が偽物とわかっていても、効果が出ているということです。
研究者は、この結果に対して、「薬を飲むという行為自体に、我々が治癒効果を見出している」と考えています。
プラシーボ効果は絶大に思えますが、America Cancer Societyによると、がんに対しての効果はあまり期待できないようです。
うつ病や、不眠、痛みなどの自分自身で改善できる症状に対して有効と書かれています。
A health problem that improves on its own (many do) can sometimes add to what’s thought of as the placebo effect. Even in serious conditions such as cancer, some types appear to get better and worse on their own, although they continue to spread and worsen over time. This is part of the effect of timing, noted above. A person who was taking a placebo when symptoms started improving on their own is very likely to believe that the placebo had some effect. And a self-limited illness that goes away completely on its own at such a time might have the placebo-taker convinced it was a miracle drug.
当然のことながら、大病に対しては効果は限定的ということです、
今はちょうど世の中にも、感染リスクはどう過ごしてもゼロにはできないので、自分の健康をしっかり管理しなければという考えが広まってきていると思います。
健康に暮らしている、自己管理できているという自信が、結果として病気になりにくくしているのかもしれませんね。
最近では、プラシーボ効果を動物にも使ってみようという試みも出てきます。
昨年、少し話題になりましたが、ロシアの農家が牛乳の量と質を向上するため乳牛にVRゴーグルをつけて、青々とした牧草地の映像を見せているそうです。
この試みが現在どうなったか定かではありませんが、試験段階で不安の軽減や気分の向上といった効果は見られたそうです。
○参考