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その日のまえに を読んで

昨年から本を読むことを心がけるようになりました。
2020年、私が読んだ作品の中で涙と1番リンクした作品が
重松清さんの「その日のまえに」です。

あらすじから記載します。
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僕たちは「その日」に向かって生きてきた。
昨日までの、そして、明日からも続くはずの毎日を不意に断ち切る家族の死。
消えゆく命を前にして、いったい何ができるのだろうか。
死にゆく妻を静かに見送る父と子らを中心に、それぞれの中にある生と死、そして日常のなかにある幸せの意味を見つめる連作短編集。
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この作品に出会った経緯が二つあります。
一つ目がこの作品を読む以前に重松清さんの「ステップ」を読んでいた。
二つ目がおすすめの本(主に感動系)をネットで調べたときに見つけた。

この作品を読んで、より、重松清さんに引き込まれました。
まだまだ重松清さんの作品を読みたいと思える作品です。
(ちなみに次に読みたい作品は「きみの友だち」です。)

ここから先は人によってはネタバレと感じてしまう方がいるかもしれません。
あらすじ以上に内容を知りたくない方は、ここまでをお勧めします。


では、私が感じたものを書いていきます。
この作品全体のもの(大まかな流れ?)について。
「その日」というのは必然的に「突然くる」と捉えがちですが、長い人生を歩んでいくと、意外とそうでもないと感じました。(私だけかもしれませんが)
というのも、ふと思う「その日」が「突然」などという気がついたら後ろに迫っていたという感覚だとすれば、この作品の「その日」は、その対角のような位置に存在するのかなと感じました。「手が届いてしまいそうなほどの距離にある将来」という表現が近いのかもしれません。
先が見えているからこその不安や感じる命のリミット。目の前にある時間を意識するのはこういう時なのかもしれないです。そしてそれを感じるのはそれを目の前に抱えている本人はもちろん家族や大切な人。
短編集なのでいくつかの話があります。
それぞれの関係の形(家族の形)によって「その日」までの歩み方があることに人間らしさというか隠れたあたたかさを感じます。


ざっくりとした感想はこんな感じでしょうか。
ではもう少し内部にフォーカスした私なりの感想を記載していきます。
ここから先はネタバレ要素が多くなるかもしれないです。

ひこうき雲について
このお話については子供ながらの感情だとか子供同士の関係に「あ、確かにこういうことってあるよな。」とかそういうことを思える描写に動かされました。
当たり前じゃんって思う方もいるかもしれないですが、鉛筆って小学生の六年間しか基本的に使わなくて、小学生らしさのあるワードだなあなんて思ったりもしました。
ここに出てくる主要人物は話の中で今と昔を行ったり来たりしてそれぞれの「その日」を考える瞬間があります。大人になった時、彼が感じ、考える「その日」。
長く生きすぎてしまったおばあちゃん。そして大人になれずに一生を終えたクラスメイト。
人々の人生の長さが当たり前に不平等であることに悔しい、悲しい、でもどうしようもできないという思いが湧いてきて涙が止まりませんでした。

、、、思ったよりも長くなってしまったので目次ごとの話はひこうき雲だけにします。
そしてこの作品の愛おしさを感じた部分があります。
それを感じるためには、最初から順番に読んで欲しいです。

その日 を読み進めていくと懐かしさを感じる瞬間に出会います。
それを是非味わって欲しいので目次通り、順番に読むことをお勧めします。


最後にまた感想を少しだけ
この作品は匂いを感じそうなほど、波の音が聞こえてきそうなほどリアルで。
だからこそ私にとっての「その日」について考えました。

きっと後悔しないとか思い残しがないなんてことは私には無理だと感じました。
「その日」を意識して初めて日常の本当に些細なことが愛おしく思えると感じました。
全ての日常を「その日」に向かって捧げることって意識的に難しいんじゃないかなと思うので、些細なことでも思いついたことを実行していくことが生きていく上で意外と大切かなと。
(この本を読んでから死ぬまでにやりたいことリストを作ってみたのですが、ゴールがわからないことに対してどういう規模で作っていいのかわからず、進みが悪かったです笑)
その中の一つを最後にここに書きます。

・年間50冊読破!
(今はまだ3冊目です、、、とりあえず30冊は読めるよう気合を入れて頑張ります。)


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