短歌「ちょっとしたことでおろおろ」
いつ召さるとも覚悟しをると言ひながら母の微熱にうろたふるわれ
母は5年前死の瀬戸際までいった。あのときはここが母の寿命だろうと思った。だから、そこから先の母の寿命は延びたら「儲けもの」で、いついのちが尽きても仕方ないと思った。ところが、4年前に母を懸命に支えてきた父のほうが先に亡くなってしまった。そうなると、母がすぐに父の跡を追ったのでは、ここまで頑張ってきた父に申し訳ないような気がしてきた。少なくとも3年ぐらいは母に生き延びてもらいたいと思うようになった。
いまはその3年も過ぎた。年齢も年齢だし、いつお迎えが来ても不思議はないと覚悟はしている。覚悟はしているつもりだが、脈が遅かったり、微熱があったりするだけで、心配になっておろおろしてしまう私だ。