詩「わが寂しさのエゴイズム」
わが寂しさのエゴイズム
理としては
嘆くべきではない
生き延びたとて
母にしたいことはなかっただろうし
あったとしても
叶わなかったにちがいない
娘も息子も
分からなくなっていたし
死んだと分かっていない夫だって
ことばを交わせるわけではない
母は生きたいなどということを
思ってもいなかっただろう
情としても
哀しむべきではない
むしろ生き延びる先には
喜びよりも多くの哀しみが
楽しみよりも多くの苦しみが
待っていただろうから
理としても情としても
嘆き哀しむべきではないが
理屈も思いやりも持たない私のエゴが
母の死を嘆き哀しむ
お母さん
さみしいです