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あなたのところに『税務調査』は来るのか?

確定申告シーズンになると、毎年必ず聞かれる質問があります。

『私のところにも税務調査って来ますか?』

私たちにとっては、『税務調査が来るかもしれない』と思うからこそ『しっかり正しく経理しなければ』と緊張感をもって確定申告にのぞむことができるので、そういう意味では税務調査は私たち事業者には無くてはならない制度といえます。

でも普通に考えれば、間違いなく税務調査なんて来ないほうがいいに決まってます。
税務調査で税金を追加で払わされることはあっても、何か得することはないです。
私も税務調査が来ると思わず『うわ—、マジかよ—!』と声をあげるくらいイヤだし面倒くさいです。

そこで今日は、あなたのところに税務調査が来る可能性について、私なりの見解をお話ししたいと思います。


税務調査が来るか来ないかの基準


結論から言うと、年間売上高が1000万円を超えなければ、税務調査が来る可能性は低いと考えられます。それは主に以下の理由からです。

【理由1】 私の実体験から

私は開業して10年になりますが、今まで顧問をしてきた売上1000万円以下の小規模事業者で税務調査が実施されたケースはありませんでした。法人の場合、7年に1回程度調査が来るのが一般的ですが、個人事業主の場合はそれほど頻繁ではありません。

ただし、特定の業種、例えば風俗業やクラブ、外国料理店などは、売上が1000万円以下であっても調査が入りやすい傾向があります。

【理由2】 調査のコスパが悪い

税務調査官の成績は、追加で取れる税金の額に左右されます。
売上が少ない小規模事業者の場合、そもそも課税所得が低いので、結果として追徴税額も少額になります。そのため、税務署的にも好成績になりづらい小規模事業者を調査するメリットはあまりないのです。

【理由3】 税務署の人手不足

少子高齢化の影響で、税務署も人員不足に悩まされています。実際に、2024年度の税務職員採用試験の倍率は2.4倍で、公務員試験の中では低めであることからも、税務署の人員が不足していることがよく分かります。
調査官が少ない中、効率よく成績を上げるためには、より大きな事業者や課税漏れが疑われるケースに集中する必要があります。

上記のような理由から、売上が1000万円以下のような小規模事業者には税務調査があまり来にくいと感じています。


税務調査ってどんなことをするの?


税務調査の流れをざっくり説明すると、以下のようになります。

【1】事前通知
税務署から電話で「過去3年分の税務調査を行います」と通知が来ます。調査日までに帳簿や証拠資料を準備します。
 ↓
【2】調査初日
午前中は仕事内容や日常生活についての聞き取り。午後は通帳や売上、外注費など帳簿のチェックが行われます。
 ↓
【3】調査2日目以降
支払やその他の帳簿を細かく調べ、追加質問があれば対応します。
その後1~2ヵ月間にわたって税務署内部での調査 が行われ、必要に応じて回答を求められます。
 ↓
【4】調査結果通知
最終的に追加で納税が必要な場合は通知されます。

およそ3か月近いプロセスを経るわけですから、税務署側としても『誰に調査に行くか』は非常に重要で、ある程度は効率が求められるのは当然なわけです。


とはいえ油断は禁物


前述のとおり、年間売上1000万円以下の小規模事業者であれば税務調査が来る可能性は低いと思われますが、油断は禁物です。
小規模事業者であっても、下記のような場合には調査が来ることがあります。

・あなたの知り合いが密告した場合
・風俗業などの特定の業種に該当する場合
・白色申告していて帳簿が整っていない場合

調査は来ないだろうと油断せずに、普段から正しい経理を心掛け、万が一調査が来ても堂々と対応できる準備をしておきましょう。


税務署の人たちも同じ人間です


最後に、税務署の職員さんたちについてお話しします。

私がこれまで接してきた調査官の方々は、ほとんどがフレンドリーで優しい方ばかりでした。
皆さん「公務員になりたかった」という理由でこの仕事を選んだ方が多く、何としても税金を取ってやろう!のような高圧的な態度を取る人は少数です。ですのでそんなに調査官に怯える必要はありません。

税務調査を恐れるあまり、不安な日々を過ごすのはもったいないことですし、もし調査があっても過度な敵対心を持つことなく、紳士的に対応しましょう。


最後に

この記事が少しでも皆さんの不安を和らげ、確定申告に向けた準備の助けになれば幸いです。
もし他にも「こんな話が聞きたい!」と思ったら、ぜひコメント頂ければと思います。できる範囲でお答えします。

確定申告シーズン、皆さんがスムーズに乗り越えられることを願っています!

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