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なにもあきらめたくない、赤い糸

私の夢も、君との未来も、どっちも諦めない。
そんなのって、やっぱり夢物語なのでしょうか。

いや、そんなことない。そんなことないはずだ。

❄︎ ❄︎ ❄︎

ちょっと良いなと思っていた会社から連絡が来た。
2次面接スキップして最終面接に来てくださいって。

オーダーメイド制で、大量生産・大量廃棄を乗り越えることを、1番の目標としている会社。

まさに、私が大学時代に研究していたことや、
今、こうして頑張っている雑貨屋さんの経験が、
活かせそうで、この会社なら社会人になるのも悪く無いぜって思っている。

だが、勤務先は東京。
恋人とは、終わりの見えない遠距離が始まる。

君が隣にいない未来なんて、意味がないのに。

まだ受かってもいないから、なんとも言えないけれど、私は、この現状を君に伝えるのが、凄く怖い。

優しい君は、きっと嫌だなんて絶対に言えなくて、
「ゆきのやりたいことを応援したいんだよ」
なんて抱きしめてくれるのだと思う。

そうやって、いつまでも君の優しさに甘えて、
いつ終わるかも分からない遠距離に踏み出して、
住みたく無いと言い続けていた東京に行きそうで、
ようやく手に入れたこの大阪での豊かな安寧が、
脅かされて、君に愛想尽かされてしまうことが、

何よりも、怖い。

周りで、遠距離恋愛が上手くいっている人よりも、遠距離のせいで破局している割合の方が、圧倒的に多いし。

というか、遠距離なんて壮大なリスクを取ってまでやりたい仕事なんだろうか??

この会社は、最初の1年間は必ず接客しないといけない。

いつかは企画職に行けるかもしれないけれど、
それならば新卒から、デザイナーやパタンナー
として働ける会社に入った方が良いのではないか?

一年半住んで大好きだと確信したこの大阪と、
いつまでも変わらない愛情を注いでくれる恋人と、
離れ離れだなんて、本当に嫌だ。

だから、この会社の面接をめちゃくちゃ頑張って、
「自分内定ありまっせ」という余裕を持ちながら、
ちゃんと、君と私の未来を両立できる会社を、
この手で掴み取っていこう。

絶対に諦めない。この煌めく赤い糸。私達の未来。

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