事業と技術の架け橋となり、”翻訳者”として存在することーー物流課題を技術で解決する、ハコベルのエンジニアリングマネージャーの思い
2022年8月に、ラクスルとセイノーホールディングスの共同出資によって生まれた「ハコベル株式会社」。第二創業期として新たなスタートを切り、事業や組織の拡大をしています。荷主と運送会社をつなぐマッチングプラットフォーム事業と荷主向けのオペレーションDXを支援するSaaS事業を展開する中で、システム開発を担うエンジニアたちはどのような想いを持って日々の業務にあたっているのでしょうか。開発本部でマネジメントを担っている平山貴之に「物流」という巨大産業でスタートアップとして存在するハコベルでエンジニアリングに携わる面白さを聞きました。
——これまでのキャリアを教えてください。
︎平山 私はゲーム会社の株式会社スクウェア(現在の株式会社スクウェア・エニックス)で、CGエンジニアとしてキャリアをスタートしました。2年半くらい経った頃、友人が学生時代に創業したモバイル系スタートアップに転職して受託開発をするようになったのです。その後、広告エンジニアを経験したのちに2010年に株式会社ディー・エヌ・エーに入社しました。広告関連事業に携わった後、ゲームやキュレーションメディア、ヘルスケアなど複数部門やグループ会社でさまざまな事業に携わり、トータル12年ほど在籍しました。最後の3年間くらいはエンジニアリングマネージャー(EM)に特化しており、元々はサーバーサイドエンジニアだったのですが、コードを書かなくなってからずいぶん経っています。
——DeNAという大企業から、なぜスタートアップであるハコベルに転職したのでしょうか?
︎平山 DeNAでは人に恵まれ、とても仕事がやりやすい環境で働いていました。一方で、40代後半になって、これから60代~70代まで働くとして、このままで良いのだろうか。もう一度チャレンジするのなら、今ではないかと思うようになったのです。その頃に読んだ『モダンエルダー』に共感したのも、きっかけになりました。多くの経験を積んできて、マネジメント領域でも再現性を持てる自負があったので、私もモダンエルダー(新しい年長者)として新たな場で働きたい。これから事業を拡大していくフェーズにあるスタートアップには、私のように一定のキャリアを積んだ人だからこそできる”支援の形”があるはず。ぜひ、そこに全力を注ぎたいと考えました。
——経験を積んだ40〜50代だからこそ、スタートアップにおいてできることがあるということですね。
︎平山 私自身もそうだったのですが、若い頃はちょっと無理なことでも体力で乗り切ったり、知らないことでも学びながら乗り切ったり、力技を使っていました。ですが、同じような経験を乗り越えた人が目の前にいてアドバイスをもらえるのであれば、いわゆる”車輪の再発明(広く受け入れられ確立されている技術や解決法を知らずに、または意図的に無視して再び一から作ること)”をする必要がなくなります。乗り越えることに注力しなくていい分、知力や体力を事業にとって大きな価値を生み出すことに集中できる環境づくりに貢献したいと考えました。
——平山さんは入社して2ヶ月ですが、ハコベルにどのような印象を持っていますか?
︎平山 ポテンシャルが高く能力のある若い人が集まっているという印象です。一方で、まだまだ組織としては未完成で、個々の能力を120%発揮できる仕組みづくりについては途上なのではないかと感じています。入社してアクションしたことのひとつとして、現在プロジェクトの全体管理やステークホルダーとのコミュニケーションのサポートなどに取り組んでいます。どのような対話をすれば物事をうまく着地させられるかを適宜アドバイスしながら、若手メンバーと二人三脚で進めています。また組織全体を俯瞰して、エンジニアリングマネージャーを新しく配置することで、強固で整備された組織にしていこうと取り組んでいます。組織が強く安定していることは、エンジニアの働きやすさにもつながると思うので、しっかりと注力していきたいですね。
——エンジニアリングマネージャーとは、どういう存在なのでしょうか?
︎平山 エンジニアリングマネージャーは「概念」としては以前から存在はしていましたが、ここ数年で明確に言語化されて認知が広まった役割・職種です。ただ、求められる役割やミッションは組織や事業内容によって期待される役割は様々ですね。ただ個の力を引き出して適切に配置することで組織を強くし、結果を出すという点や大きな課題を見つけて解決に導いていくという点は共通です。そういう意味では、一般的にマネージャー(管理職)に期待される役割を、対エンジニアの形で果たす必要がある職種ではないでしょうか。EMという職種だけを考えれば、開発の経験を積んでいてエンジニアと共通言語を持っていたり、エンジニアリングの考え方を理解したりしている方が望ましいと思います。
——エンジニア組織をマネジメントする人は、技術を理解していること以外に何が求められるとお考えですか?
︎平山 最終的な目的は「事業を成長させること」です。そのために、組織から何を期待されているかを理解した上で技術課題を見つけたり、逆に技術を使った解決方法を提示したりと知恵を出すことが求められるのではないでしょうか。そういう意味では、ビジネス視点も磨く必要があるでしょう。そしてエンジニアメンバーに、ビジネスサイドの想いを翻訳して伝えていくのもエンジニアリングマネージャーの役割の一つだと思っています。例えば、組織全体に対してトップが「事業の成長に関する方向性」について語ったときに、エンジニアだけの定例会などで「あれはこういう意味です」と解説すると、より深くエンジニア視点での理解につながる。自分たちのエンジニアリングはきちんと事業につながっているんだとわかると、エンジニアたちのモチベーションにつながりチーム全体の士気が上がります。事業と技術の架け橋になること、”翻訳者”であることがEMの役割かもしれないですね。
——ハコベルとエンジニアの関係性について、「現場に寄り添った開発をしたいエンジニアに合う環境」と表現する人もいます。平山さんは、どういうエンジニアがハコベルに合うと感じますか?
︎平山 ハコベルのエンジニアは、技術で事業に貢献したいという気持ちを真っ直ぐに持ち続けている人が多い印象を受けます。ハコベルは今、セイノーHDさんとのシナジーを中心に事業を組み立てているため、事業戦略が複雑かつ流動的になりがちです。エンジニアは計画された一つのプロジェクトに対して数ヶ月スパンで取り組んでいるので、事業の変化速度と同じスピードでプロダクト開発を変えていくのは難しいケースもあります。けれど、ハコベルのエンジニアを見ていると、自分たちの手でサービスやプロダクトを開発して事業に貢献したいという気持ちがブレておらず、どんな状況でも柔軟な姿勢で向き合っていると感じますね。
——ハコベルは「物流危機」という社会課題に対峙しながら事業を構築している過程です。このような環境下で、どんなモチベーションや意義を持って働けるか教えてください。
︎平山 私はITに長く携わってきた中で技術を世の中に役立てられれば、より多くの人を幸せにできるはずだという考えを根幹に持っています。私たちの生活にとっても身近な物流領域の社会課題に関与できるのは、エンジニア冥利に尽きると思いますね。自分の能力や技術が社会課題を解決することにつながっているという意識は大きなモチベーションになるのではないでしょうか。エンジニアリングという武器をもって、とてつもなく膨大な人が関わる領域の「不」の解消に挑むことに意義を感じられる人は、ぜひ仲間になってほしいですね。
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