人々の暮らしと樹木の関係ー鳳凰がとまる『桐』のお話
こんにちは。ガーデンプランナーのhacoです。車を走らせていると、淡い紫色の花を咲かせる大きな樹を見つけます。
この花を見かける時期に、藤の花も咲くので、遠目に見ると藤と見間違えることもあります。
しかしその花は『桐』の花です。
今日は桐のお話。
桐(キリ)
桐の木は、日本では北海道から九州まで広い地域で自生しています。
『桐の箪笥』といえば、ピンとくる方が多いかと思いますが、桐箪笥の歴史は、江戸時代後期から、明治の初め位。西洋の家具の文化の流入とともに使われるようになってきました。
それより古くから、実は桐は日本人の文化に浸透していたのです。
桐の花は神聖な花
あれが『桐の花だよ。』と言うと驚く方も多い本当に美しい花なのですが、その花の美しさから原産国の中国では、鳳凰がとまる唯一の樹と言われています。
では、花をご覧ください。
桐の家紋
神聖な樹として、中国から日本へ伝わった桐ですが、桐の花は、日本では古くから紋章として使われてきました。鎌倉時代には天皇の着衣にもあしらわれていたそうです。
家紋には、植物がデザインのもとになっているものが多くて、私は家紋一覧を見るのが大好きなのですが、桐がモチーフの家紋にはいくつものデザインがあります。
天皇家の紋章は、菊の花を象った菊花紋。また、徳川家の葵の御紋はフタバアオイという、なんとも地味な植物が用いられています。
調べていくと、とても面白く興味深いです。
私のおすすめの家紋一覧、リンク貼っておきますので、良かったら見てみてください。
五七桐
この家紋を、見たことあるかたもいらっしゃるでしょ。この家紋、あの豊臣秀吉が織田信長から拝領したもので、織田信長の自画像にも描かれています。
ちなみに、『五七』は、上を向いて咲いている花の数をあらわしているので、花の数が違って『五五桐』という形の紋などもあります。
そうそう、『五七桐』Wikipediaの織田信長の自画像をよーく見たら見つけられますよ。探してみてください!
首相官邸の家紋もこの『五七桐』なんです。
桐紋は、菊紋と並んで他の家紋とは一線を画す家紋なんですね。
桐の箪笥は軽い!?
さまざまなな木材がある中で、なぜ『桐の箪笥』が、誰しも聞いたことがある言葉になったのでしょう。
箪笥が日本人の暮らしに登場するまでは、木製の長持(ながもち)や櫃(ひつ)でしたが、江戸時代中期頃から、衣類が増えたことで箪笥が必要になってきたそうです。
ではなぜ、桐の箪笥がメジャーなものになったのか、、ちょっと不思議だと思ったのには理由があります。
桐は成長の早い樹です。そして、『柔らかい樹』だというイメージは伐採や剪定の様子を見ていて感じます。
海外のヴィンテージの家具は、チーク材やオーク材の硬い樹が材料の場合が多い。
それに比べて、桐は柔らかい。重量も軽い。
しかし、調べていくとその『柔らかさ』『軽さ』こそが、日本人の暮らしに寄り添った材だったのです。
箪笥を運ぶ
桐の箪笥は軽くて、運びやすいそう。実際に、リサイクルショップで見かけた桐箪笥には、左右に持ち手のような金物がついていました。
そう、その持ち手を持って、火事の時には運び出せるように。という事で桐箪笥は重宝がられたのだとか。
また、桐の箪笥は水にも強い。火にも強い。
それは、桐の材の機密性が高いからでしょう。
まとめー嫁入り道具に樹を植えて
江戸時代には、『女の子が生まれたらその家に桐の木を植えて、お嫁に行く頃に、その成長した樹を切って嫁入り道具を作った』というお話は有名なお話です。
それだけ、桐が成長が早い。というのがお分かりいただけると思います。
桐、なかなか面白い樹でしたね。
さてさて、桐の花の満開を見届けると、鹿児島は夏が来ます。(はい、私が勝手に決めています。笑)
寒暖差が激しいのと、新年度始まってお疲れの出やすい時期です。皆さまどうぞご自愛ください。
では。今日も最後まで読んでくださりありがとうございました。
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