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ちきりんさんのリノベ本 家に関わる全ての人に読んでほしい

こんにちは、ハチノです。

今まで書いてきた記事に何度か登場したこちらの本について書いていきます。

家を持つ人・家に関わる仕事をする人みんなに読んでほしい、
というか私が仕事を始めた頃に読んでおきたかった!と思う、激推し本です。
かなり前に読んだのですが、お勧めしたくて再読しました。

社会派ブロガーのちきりんさんが自宅マンションをリノベーションをされた経験を元に書かれた本です。

リノベーション本でよくあるビフォアーとアフターと施工費を並べた事例本ではなく、ちきりんさんならではの論理的な考え方で進められたリノベーションのプロセスを追うことができたり、スケルトン状態になったマンションの様子や複雑な配線配管の様子を写真で見ることができます。
(こういう写真を見ると、家というのはつくづく複雑な機械だなと思います)

それだけでも十分おもしろいし見応えがあるのですが、いちばん紹介したいと思ったのは第3章リノベは客と業者の共同プロジェクトに書かれていることが施主側も業者側も言語化して認識しておきたい家づくりにおいてものすごく大事な大前提だと感じたからです。


第3章は全ての人に読んでほしい

第3章の冒頭にこう書かれています。

世の中の取引には、売り手と買い手が「等価な価値を交換する取引」と「両者で共に創出した価値を分け合う共同プロジェクト型の取引」があります。

34ページ

つまり、お店で品物を選んでお金を払う日々の買い物や飲食店での食事など、最初からお金を支払う対象がはっきりわかっているような取引が「等価な価値を交換する取引」で、家づくりのような出来上がるものがまだ見えていないような取引が「共同プロジェクト型の取引」というわけです。
(ちきりんさんは本の中で医療や教育も共同プロジェクト型の取引と言われていました。確かに両者の協力で結果が大きく違うという点が同じです。)

で、問題は

実はリノベ会社の人も、リノベが共同プロジェクトだということを言語化できていません。

39ページ

これです。
私は工務店やハウスメーカーの立場ともちょっと違うのですが、家の計画の初期段階で接するお施主様はこの辺りがピンときていないのではないかなと思うことがあります。
その時に私もはっきり言語化できていなかったなと反省しなければいけないと思ったのですが、結構同じように言語化できず、施主様とのコミュニケーションが難しいと思っている業者側の人、多いのではないでしょうか。

家づくりと家の維持は一つのプロジェクトで、そのプロジェクトリーダーが施主。
リーダーは決定権があり、プロジェクトの中で数多くの選択をしなくてはいけない。
そして業者側はリーダーがより良い選択ができるようにサポートし、実行することが仕事。
お金を払うだけでいい家ができるというわけではない。

業者側の私は分かっていたはずなのに、はっきり言語化できていなかったから「家づくりの場面で施主側と業者側の見えているものや意識の差」について長年モヤモヤしていました。

ちなみにこれって家づくりにおいてだけのお話ではないですよね。
サービスを受ける側が提供する側に協力することで得られるメリットってあらゆる場面で、たとえ等価値交換型の取引の場であっても起きることだと思ったりします。


ちきりんさんの判断軸と業者へのリスペクトにしびれた6〜7章


本の中盤の6〜7章はちきりんさんの業者選定実録になっていきます。
先ほどの3章を受けて、

意向の合うところに頼まないとお互いに不幸です。

第6章 111ページ

スケルトンでのリノベはものすごく複雑なプロジェクトなので、途中で予期せぬ問題が起こることは(どこに頼もうと)明らかでした。なので、(中略)「一緒に問題解決を進めていくパートナーとして信頼できる人や会社」を選びたいと考えたのです。

第7章 140ページ

という言葉が出てきます。

ちきりんさんは、個別相談に7社訪問され、現場調査に4社来てもらっているのですが、これものすごい時間と労力だったと思うんですよね。
なるべくそれぞれの日程を同じ時期に集中させてスケジュールを圧縮されたとのことですが、時間を短くすると短期にパワーを集中させなければいけませんし。
そもそも個別相談7社を選ぶまでにもものすごい量を調べられたのではないでしょうか。
そこからご自身の軸をブラさずに選び抜かれたのはほんとさすがの一言です。

それと7章の最後ではちきりんさんから業者側への労いの思いが感じ取られて私は勝手にしびれました。

それは断られた業者から理由を教えてほしいと言われた際、理由を詳細に説明されたところです。ここで

我が家のリノベのために労力を費やしてくださった方々へのせめてもの御礼です。

7章 150ページ

と書かれていました。
これ、聞くの勇気いるのですが大事なことなんですよね。
良いと思う提案をしているはずなのに、施主様の意向の読み取りができなかったのか?何かこちらの不備で嫌な思いをさせたのではないか?という心配もありますし、聞くの怖いです。
だけど施主様側から御礼の気持ちで自分の仕事に対する意見を聞けることは今後のやり方について素直に考えられるきっかけなので、こういう気持ちの乗った意見はありがたい、大事にしたいものだと思います。

ちなみに余談ですが、業者側は提案が採用されなければそれまでに行ってきた提案業務に対しての報酬がいただけるわけではありません。
家づくりの業者側として厳しいと思うところでもありますが、ちきりんさんはこういった料金体系についても言及されていて、「そこに目をつけてくれたか!!」とありがたい気持ちになりました(笑)

全編通し、さすがの切り口でご自身のリノベ経験を語られていました。
ちきりんさんはたまたまリノベーションという選択になっていらっしゃいますが、新築の場合も賃貸の家選びの場合も、はたまた今の家をちょっとだけ模様替えするという場合も、全てにおいて家と向き合って自分や家族がどうしたらこれから快適でいられるのか、負担なくいられるのかよく考えることで生活が変わってきます。
「こういう考え方もあるよ」という一例としても、誰にでもお勧めできる一冊です。
ぜひ読んでみてくださいね。

今回も最後までお読みくださりありがとうございました。


本を出された2019年の記事ですが、ダイヤモンドオンラインのちきりんさんと島原万丈さんの対談も読み応えがあるのでお勧めです。


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