虐待の後遺症と気分障害の合併
虐待サバイバーは複雑性PTSDや各種パーソナリティ障害という虐待の後遺症になりやすいです。
その中で、上記以外に、うつ病や双極性障害など、気分障害を合併していますか?というアンケートをTwitterで実施しました。結果は、以下のとおり。
回答数は、90票で、7割が気分障害を合併しているという結果になりました。成人後、何らかの精神的な不調を自覚し、精神科を受診した虐待サバイバーは、虐待の後遺症である複雑性PTSDや各種パーソナリティ障害だという病識を持って(つまり、その病名に自覚があって)精神科にかかることは、まずありません。精神科に自ら受診するのは、重度のうつ病や双極性障害の症状が苦しくて受診します。双極性障害の操転は、自覚が難しいですが、うつ病やうつ転に関しては、自分が苦しいので、本人が病識がもてます。そして、ほぼ数年間〜下手したら何十年と、うつ病や双極性障害などの気分障害だけが診断され、虐待の後遺症である複雑性PTSDや各種パーソナリティ障害の診断や治療には至らないケースが多いように感じています。
理由としては、精神科で成育歴と関連して病名が付記されるケースはまだ少ないことがあげられます。精神科医も、虐待の後遺症をまだまだ知らない方が多いからです。
虐待の後遺症は、複雑性PTSD、愛着障害、解離性障害、摂食障害、各種パーソナリティ障害、従来の気分障害(うつ病や双極性障害)の合併、発達障害(ASDやADHD)と類似した症状(第四の発達障害)など、多岐にわたる病気を重複して罹患しているケースが多く、症状がとても複雑になっているので、早期に確定診断されることが非常に難しいのだと思います。しかしながら、昨今は、虐待の後遺症についてネットや書籍などで、情報が出てきているので、患者側が虐待サバイバーかも?と思ったら、事前に上記の知識を調べた上で、精神科を受診すれば、精神科医や精神科医療スタッフへ適切に情報を伝えやすくなり、より早く診断がなされたり、適格な診断・治療ができる医師を患者側が探した上での受診ができれば、早期治療につながる可能性が高くなります。
患者さんも勉強した上で、腕のいい精神科医を自分で探す方が、二次被害にも遭いにくく、早期支援につながりやすくなります。患者側も勉強しましょう。
虐待の後遺症については、以下の書籍に詳しく描いています。精神科医の和田秀樹氏の監修・対談付き。