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ライトノベルの賞に応募する

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⭐︎現在(36完結)まで⭐︎ ライトノベルの賞に初めて応募する為に書きました。 ラノベの定義もわからず、小学校高学年から若い層に向けたもの、という事なので、主人公を小学五年生の男の子…
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#ギター

ライトノベルの賞に応募する(26)

ライトノベルの賞に応募する(26)

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 食堂に入ると配膳はもう済んでいた。僕は昨日と同じ席に着く。パラパラと人が増え、いただきますの号令と一緒に食べ始める。いつものように早々に食事を終え、手持無沙汰にしていた。話しかけられてもあんまり具体的なことは言わなかった。食べながらおしゃべりをする口元を見るのが嫌なのだ。とりあえず口の中のもの飲み込んでから話してくれ。そう思ってしまう。
 朝食の下膳が終ると、朝の会が始まった。

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ライトノベルの賞に応募する(29)

ライトノベルの賞に応募する(29)

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 朝起きてから僕はずっとソワソワしていた。湯川さんは夕方からの勤務と言っていた。夕方って何時なんだろう。僕はまだ見ぬギターを貸してもらうことを心の底から楽しみにしていた。
 大富豪のメンバーにサッカーに誘われた。
 でも僕は、
「ごめん、これからサッカーは一人でするわ。」
 と言えた。相手が不快になるだろうとは想像できたけど、僕は僕を大事にするのがここでの課題なのだ。仲間外れや最

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ライトノベルの賞に応募する(30)

ライトノベルの賞に応募する(30)

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夕食の時間ギリギリまで僕はサッカーに集中した。夕食だと呼ばれると、後ろ髪をひかれる思いで、あと片付けをした。しょうがない。ルールは守らなければいけない。使っていたバトンなどの用具を拾って倉庫に向かう。
 倉庫の中で、ハジメたち4人に囲まれた。僕が来るのを待ち伏せしていたのだ。
「お前、なんなんだよ。偉そうに。」
 ハジメが口火を切る。
「サッカーが少しうまいくらいで調子に乗りや

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ライトノベルの賞に応募する(31)

ライトノベルの賞に応募する(31)

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 僕は夕食を部屋で食べるように言われ、部屋に戻ると勉強机に夕食が用意してあった。僕はまだ涙が止まらなかった。一応食べては見たものの味がしなかった。鼻水をすすりながら、一口一口必死で食べた。食べなきゃ僕が負けな気がした。
 僕が必死で食事していると、部屋がノックされた。僕は慌てて服の袖で涙と鼻水をぬぐった。
「おーい。ギター持ってきたぞ!」
 湯川さんだった。
「聞いたぞ、なんか倉

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ライトノベルの賞に応募する(32)

ライトノベルの賞に応募する(32)

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「これはストラトと言ってね、エレキギターの一番オーソドックスな形。で僕が持ってるのがテレキャスター。君はどっちが好き? 好きな方を選んでいいよ。」
 僕が持っているのが木目調に黒い縁取りで、湯川さんが持ってるのが薄い黄色のマットな色だった。
「どちらもフェンダーという会社が作ってるギターで、君が持ってるストラトはUSA、アメリカ産だ。僕が持ってるテレはメキシコ産。」
「…。」

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ライトノベルの賞に応募する(34)

ライトノベルの賞に応募する(34)

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 話し合いはそれで終わったので、僕は湯川さんと部屋に戻った。湯川さんと部屋に戻ると、ミワはもう寝ていた。
「ミワちゃん寝ちゃってるね。」
「はい。」
「さっき、君はすごく頑張れたと思う。」
「…。」
「冷静な言葉で、自分の考えてることを表現できていたし、相手の考えてることを想像して、受け入れられることと、そうでないことを判断できていた。」
「…。」
「それは誰でもできることじゃな

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