変身企画のお話①(before→after)
独立して2年目
なんか面白いことやろうかな、と
自らに課した
ぶっつけ本番企画をしたのは
もう2年も前の話なのかぁ〜
そんな風にホームページのゴタゴタで
一旦下げていた記事を
ある方との出会いでちょっと思い出す事となり
記録的にこちらに再編して
改めて残そうと思います。
お任せは多いのですが
本当に
お任せって難しいんです。
出来ないって意味じゃなくて
本当の意味で
お任せしてもらえなければ
半端すぎて
気持ち悪いって意味で。
髪型や色だけ
ピンポイントで言われても
メイクもしない
スタイリングもしたくない
とか結構言うし笑
そして
本人とそのスタイル自体の印象が
あってないから変えたいのに
あーだこーだ結局好みを優先せざるを得ない状況になりやすく
野暮ったく中途半端に
なってしまうことも少なくない。
(それを避けるためにほぼ好み通りとなってしまう)
特別な事をしろ、しなきゃダメだ
なんてことは全く一ミリも思っていない。
むしろ逆で
お洒落を特別視し過ぎることで
謎にハードルを上げて
疲れ切って
0/100思考で諦無難に落ち着かせて
無意識に逃げる心理は
思ってるより
マイナスに傾くこと多々ありますよ
だから もっと楽にラフに
人生と共に過ごす貴方の額縁である髪を愉しむためには
お任せって道がある事を提示したい
と考えてる。
なぜなら
プロに任せた方が
様々な技術の組み合わせや
客観的視点から
より良くなる事しか言わない立場ゆえ
自動的に圧倒的に
自分主導で選ぶより
色んな意味で水準が上がってゆくはずだから。
店を出たあと
ご本人が「生活」を始めたときに なじみながらも新鮮で
かつ
メンタル、フィジカル共に無理なく トキメキを伴って
伸びて変化する髪を次会うまで
「快」寄りで維持していただけるように
以下のポイント(※)を重視して
カウンセリング、
スタイル作りを心掛けてるからだ。
よく一般的にも浸透した〇〇診断や 〇顔にはコレ、みたいな
方程式的「型」理論がある。
ネットに転がっているし
そのまま同じことを言う美容師さんも多いはずだが
※それは当たり前の部分であって
大人の「似合わせ」「変えてほしい」欲求を満たす場合
※もっと本人の奥まで見て作って変えてやらないと
人間、瞳の奥に光は宿らない。
※醸し出すキャラクターの雰囲気は勿論 なりたいイメージ像とその絞り込み、
顔立ちのイメージタイプ、頭部、
頭部以外の全体の骨格、
日常の背景(仕事環境、生活環境、かかる負荷含め)
髪にかけれる時間や意識
(そこは必要であればソフトからスパルタで教育可能、絶賛好評をいただいておるようだ)
少々骨は折れるが
通り一辺の作業だけが美容室だと思って欲しくない。
死ぬまで髪を好きで愉しませたいのだ。
様々なところで
"既に出来上がった"モノを動かすことで人生観まで変えるほど
美容、髪にはチカラがあると感じている。
お客様側が思うご自分のイメージって 思ってるより結構偏っている。
すると当然
そこから選択する技術的なメニューや カタチも 色も
狭い範囲にとどまることになりやすい。
それに拍車をかけたのが大手ネット予約サイトが定着させた
組み合わせメニューのクーポン
つまり「型」
こちら側も便利は便利だが
内容をネット予約に落とし込むとなると
アシスタントのいない一人営業では
なかなか難しいところはある。
何年もかけて
何度も何度も試行錯誤してみたけれど
お任せって 本当に難しい
(´-`).。oO
提案をいくら重ねても
欲しいと言われてメニューを幾つも作っても
「わかりにくい」と言われてしまう程
複雑極まりない組み合わせの数と
種類、工程etc…
よって
"ここまで"しかさせてもらえない悔しさ…
いや… もどかしさ?
みたいな
長年積み上げたモヤモヤモヤっと感、
「好きにさせてくれぇ」って思いがことフルチェンジ企画をやった理由。
「お任せ」とは言われても
ほぼ 既にご希望を聞きながら作ってる顧客様では
大幅チェンジは出来なさそうなので
自店に来店したことが無い方へ向けてモデルを公募した。
実を言うと私は新潟で仕事をしているのだけど
北国あるあるなのか
新しいコトへの着手スピード感が
遅いしあまりにもマイナスに捉えがちだと、
特に美容師として思う部分で
動く人がいるだろうか?
自分に頼んでくれる人がいるだろうか?と
実験的にやってみた。
・完全おまかせ
・やったことなくてもコレも似合う
・データ全公開OK
これを条件にメニュー化前のプレゼン企画の為
お洋服他こちらからのプレゼント企画でした
(パンツの丈が微妙なのは後日好きにしてもらう為です悪しからず)
モデル様は
・47歳 お勤めアリ
・3人のお子様のお母様
ご趣味がまたアクティブで
・バスケットボール
お好みは普段からカジュアル、
ショートヘアが基本
・メイクは眉を描く…くらい?
てことでした
ホームページのブログで公募したのですが
応募申し込みのメッセージから
誠実な、人柄の良さが伺える、
あったかい包容力を感じました。
今回作る目的は
・お人柄(キャラ)からの似合わせと
・普段ご自分では選ばないスタイル
その為事前に30分だけお会いする時間をいただきヒアリング。
実際お会いした印象は、
なんと言っても
明るく元気!
いい意味で真面目!
かつ やはり先のイメージ通りの
誠実な人柄
こちらの質問やお話に
一生懸命 考えて答えてくださる
温かく優しい方でした。
さてモデルさんの髪遍歴を伺うと
なかなか攻めたスタイルも
難なくこなせる様子。
「違う自分を見てみたい」とのことでコンセプトに合意をいただき
すぐに沸いたイメージは
当日まで内緒であれこれ組み立て始めた。
打合せの後1人 お借りしたモデルさんの以前のヘア写真を眺め
↓↓
攻めてるねぇ〜
どうしよっかなー(*´-`)
と悩みました
その"攻めた"希望通り
ボーイッシュを通り越してクールにスパーン!!と刈って差し上げ、
(切る方も勇気はいる)
衣装も"かっこいい"をテーマに
バシィっと決めてやろうかなぁ〜ψ(`∇´)ψって思ったんです、はじめは。
が、しかし
待てよ、わたし と
心の中でずーっと警告音。
会話した内容、印象、本人の好み希望に引っ張られ過ぎてやしないか?
全力で相手に合わせる癖…
営業はそれが当たり前だが、
今回の企画でそのまま"希望通り"を作るんじゃ
コンセプトと違うんじゃないか?
それじゃいつも通りじゃん…
なんのために
これをやるのか?
今回は
まっさらな状態からの似合う提案
「これもどう?」
「こんな魅力があるよ!」
がやりたかったんじゃないか??
写真のモデルさんを
よーくよーく眺めて自分に対して疑問をぶつけて考えた。
守りに入ろうとする自分に
気がつく。
タイムリミットも儲けたのは良かった。
ご本人だけでなく
私自身のイメージを、
思い込みを払拭だぁっっ(*´∇`*)
す、好きにやっていいって
仰ってたしぃ〜♪( ´θ`)ノ
よおし、やぁ〜るぞぉ〜
好きなこと‼︎
てな感じで出た脳内会議の結論は
【テーマ】
新しい発見でキュンとする自分
*キュート
*カジュアル
*フェミニン
これで行きましょう。
大人のための、
新たな魅力発見ができる美容室でありたいのだ。
一応下書きも作ってみた。
意外と本番 連続作業と
新規との会話って気をつかうし
営業であり得ない
何もわからない新規のお客様の意見を全く聞かず
「似合うから!」を全力で押し付けるのだから
気に入って笑ってもらえるか
最後まで気は抜けない。
カンペでもあるので書き込みはモザイク処理でごめんあそばせ。
衣装も完全こちら側からのご提案。
カラーアナリストの資格も一応持ってます。
お会いした時全体をコッソリ診断
(通常営業でもやってますが)
お洋服のテイストチェンジは
あの借りた写真で随分引っ張られたので悩んだなぁ。
普段から首元は詰まったものが多いそう。
打ち合わせ時と当日
参考までにbeforeがこちら。
胸元、肩首周りにボリュームを感じる骨格、
タイプから行くと
もう少し素材もドレッシーなテイストが似合うと踏んだし
お洋服はプレゼントするつもりだ。
せっかくだから着て欲しいので
彼女がお選びにならないであろう路線で行くことにした。
生地感に少し光沢感を感じるかな?くらいのコットンブラウス。
カジュアルなTシャツにも今後合わせて履けるように
夏活躍しそうなリネンブランドのパンツ。
(撮影は5月)
普段モノトーン、デニムが多いとのことで
あえて色とシルエットを
全く変えるコーディネートをご提案してみました。
サプライズの為サイズだけ伺い
当日初めて
衣装をお見せすると
「自分じゃ選ばないなー!」と驚きつつ
色合わせは気に入っていただけた様子。
この溢れる笑顔が最大の魅力であるから
この人の持つパワーに負けないよう
奥底から滲む包容力と温かみのある人柄をヘルシーに寄せて
大人の女の魅力として全面に出したかったから
探して探しまくったもの。
ヘアはのちに
先に仕上がりですが
どうかしら?
肝心なヘアメニュー は
*カット
*ハイライトonカラー
*ニュアンスパーマ
*トリートメント
お肌がめちゃくちゃ綺麗でハリのある健康的な美肌さん
普段ノーメイクで眉を描く程度
からの
オレンジ寄りのピンクベースで
ナチュラルに
あれこれ会話しながら、
時折 大笑いしながら
フルメニュー 完成。
ご本人曰く、
久々にしたお化粧を
「化けるって書く訳だわぁ〜」
と
ご満足そうに笑ってくれた。
自分で作っておきながらアレですけど、
可愛くないですか
(・∀・)??
ちなみに白髪はほんの数本あり
黒髪ストレートなので
ちょいと悪目立ち
↓↓↓
ペタンコになりがちな髪と分け目は
顔を大きく見せてしまうので
ゆるいパーマで動きをプラス
スタイリングも楽になるし
もちもいい。
(逆を言えばくせ毛って小顔効果もあるんだよ)
トップと耳周りに動きを出したいので
白髪ぼかし的役割でハイライトを少し↓↓↓
ハイライトの後で
全体をベージュブラウンで
洋服の彩度を邪魔しないよう
明度を上げて
お肌の透明感を活かすトーンに調整。
乾かすとこんな感じ。
直毛ペタンコヘアから
くせ毛風にチェンジ
耳掛けでも
はねても可愛いように。
開始から数時間で
内側から参加型で
心が動くエンターテイメント
それが美容室ではないだろうか?
宣伝用にあえてビフォーアフター
写真を撮るときも
あれこれ慣れないポーズを取らされて
疲れたかと心配すると、
「大丈夫!」と終始笑顔で、
こうかなあ?難しいなぁ?って
頑張って撮らせてくれました。
途中、お嬢様も見学に加わって
ノリの良さから撮影枚数
計134枚。
お疲れ様でございます!!
仲の良い親子なんだなぁ〜って
隠し撮りを失礼します。
本当に素敵な方に来ていただいたなぁ〜って感謝。
数時間で、人はここまで変われる。
"好き"や"定番"だけが
絶対正解ではないし
もし正解だとしても
一生同じじゃなくてもいいはずだ。
実は
似合う、は幾つもある。
男性だって
性別未設定だって
もちろん同じだ。
好きな事を身体で表現できるのは
人間らしい幸せな事。
いくつになっても、それは可能だし
私はさせてやりたい。
誰にもそうは思われないのだけど
実は本当に20代は特に
緊張してガチガチだし
毎年胃カメラをのんでいた私。
今はもうそこまででは勿論なかったけど
作業、撮影 通しで全て1人でこなすのはまあまあキツかった記憶が残る。
でも、いい笑顔で
お嬢さんも喜んでくれて
すっごく楽しかったし
数年経った今でも 定期的に
激しめデザインをさせてくれる
来るのが楽しみなお客様のお一人となった。
普段多くの場合美容師は
良くも悪くも
一方的に選ばれてからでないと
お客様とは出会えない。
今回自分が起こした行動で
まだ会ったこともない他人様が動いてくれた事が(ひやかし含めてw)
とありがたかったし
応募権が今回なかった顧客様達も
事前告知から
ブログを読んで喜んで盛り上がって
応援してくださり
仕上がりを見てからは
一気にお任せの概念を変えてくれて
好きにさせてくれる方もまた増えた。
1人で勝手に抱えたプレッシャーもあったけど
やって良かったチャレンジ企画でした。
最後に再び改めて
企画にご参加くださったモデル様、
本当に素敵な緊張感と時間と
私が自分の壁を壊す意味での
チャレンジに
お付き合いしてくれて、
お力を貸してくださり
心から感謝でいっぱいです。
本当にありがとうございました!!!
こんな美容師でございます♪
この記事が参加している募集
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?