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目には目を、歯には歯を

皆様はじめまして。
連載第3回をつとめます、小寺亮佑と申します。

「目には目を、歯には歯を」という言葉、ご存知でしょうか?
一般的には“やられたらやられた分だけやり返す”というような意味で認知されているようですが、そもそもこの言葉は紀元前1800年代に制定された、ハンムラビ法典という法律に出てくる言葉です。

その条文の中で「目には目を歯には歯を」という言葉は、当時のいきすぎた報復行為に制限をかけるべく、受けた被害と同等の仕返しにとどめ、それ以上のことをしてはならないという意味が込められていました。つまり、やられたらやり返そうという、復讐を推奨するものではありませんでした。


本来の『目には目を歯には歯を』


近年の映画やドラマ、漫画などの人気作品には、この「復讐」をテーマにした作品が多くみられる気がします。大きな危害を加えられ、どん底に落ちた主人公がそこから這い上がって復讐を成し遂げる、というストーリーをよく目にします。

あるドラマでの「やられたらやり返す、倍返しだ」というセリフは流行語大賞にも選ばれました。これだけ復讐や仕返しをテーマにした作品に需要があるのは、日常で私たちが抱える、似たストレスを発散させてくれているという一面があるのではと感じました。


やってやられて…


日常を振り返ってみると、誰かに嫌なことを言われたりされたりした時、自分の中に残った嫌な気持ちを昇華しようと、相手が嫌がるような言動や態度をあえて取ってしまった・・・そんな経験はありませんか?


「妙法蓮華経」というお経の中に「慈眼じげんをもって衆生しゅじょうを視る」というお言葉があります。どんな相手に対しても、慈しみの眼をもちましょう。という教えです。この教えが説かれているお経には観音様が登場されます。正式には観世音菩薩かんぜおんぼさつといい、観音様はあらゆるものに姿を変えて私たちを救ってくださる存在です。


観音さま

その姿は、家族や友人、会社の同僚など、さまざまです。あなたの味方となって寄り添ってくれることもあれば、時にあなたの敵として現れることもあります。自分を大切にしてくれる人に対して温かい眼をもって接することはできても、自分に怒りをぶつけてくる相手に対して、慈しみの心で接することは簡単ではありません。


しかし、これはすべて私たちが乗り越えて自分を磨き上げるために与えてくださった、観音様からのありがたい試練なのです。自分に意地悪をする相手に対して、いつか仕返しをしてやろうという気持ちでいれば、自分も相手も明るくはなりませんし、自分の心も汚れてしまいます。もしかすると、私たちの中にある“仕返ししてやろう”という恨みや憎しみの心が、自分の周りに敵を作っていっているかもしれません。


皆様も今後、“これは私に向けられた試練だ”という思いで、どんな相手に対しても温かく慈しみの眼をもって接することができれば、自分の環境をより良いものに変えていくきっかけになるはずです。ぜひ実践してみてください。


佐賀県多久市 小寺亮佑

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