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「忘れない」・・・別れの言葉。超ショートショート。
別れの時。互いに納得して別れることは難しい。ある男女のかわした言葉とは・・・何だかややこしいけど。
『忘れない』
「別れよう。今までありがとう」
その言葉を聞いて、女は眉尻を少し浮かせて言った。
「ズルいわね。別れの時に『ありがとう』なんて言ったら、
女は男を忘れられなくなるとか・・・誰かに教わってきたんでしょ」
言われて男は後悔した。
『ありがとう』は、恋の終わりには使ってはいけない残酷な言葉なのだ。
憎しみあって別れる方が、未練が無くて良い。
そして、慌てて取り繕うように言葉をつづけた。
「いや。そんなマニュアル的なことじゃないんだ。
僕は本当に、君のことは生涯忘れない」
「ふふふ」
女は、少し顔を伏せて微笑んだ。
「私もね・・・いつまでも『私を忘れられないでいる男』がいることを
・・・決して忘れないわ」
おわり
これは、私の友人が高校時代に言われた言葉。
それ以来、本当に友人は彼女の事を忘れられなくなったらしい。
それにしても、別れを切り出されても、こんな返しを言えるなんて
余りにも冷静過ぎる。
私にも疑問が残った。
「はたして、友人の恋は本当に始まっていたのだろうか?
そして本当に振られたのはどっちだ」
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