「麻田君、DESIRE問題に直面する」・・・トラウマ級にヒートアップ。彼女と破局?
学生時代。
麻田君が、当時付き合っていた彼女を含む男女4人でカラオケに行った時の事である。
全員が何曲か唄った後で、麻田君の彼女が、中森明菜の「DESIRE」を唄い始めた。
ご存知の方もいらっしゃると思うが、この「DESIRE」は
低音域から始まって高音域のロングトーンで聞かせる魅力的な楽曲で
明菜自身がアレンジしたという和洋折衷の衣装とも相まって
50万枚以上の大ヒットを果たした明菜の代表曲である。
特にファンの間で有名なのは、
サビにある「な~んてね」という歌詞部分の後の空白。
ライブなどでは、ファンがこの空白のところで「合いの手」を入れるのが
一種の習わしのようになっていて、中森明菜本人もファンのこの合いの手を
認めて楽しんでいた。
そして、この日の麻田君も例に漏れず、彼女の「な~んてね」の後で、
「ウントコドッコイ」
と合いの手を入れたのだが・・・これが後で問題になった。
「何やってんのよ。変な合いの手入れないでよ」
調子を狂わされて上手く唄えなかった、と彼女が怒り出したのである。
「え? 君は合いの手が嫌いなの? 明菜のライブでファンが入れてるじゃん」
「それは知ってるわよ。でもあなたのは間違ってるでしょ。
『ウントコドッコイ』じゃなくて、『ハードッコイ』でしょう」
「ええ? それは変だよ。あそこパーカッションか何かが、
『トッ ト トントン』って入るから
『ウン トコ ドッコイ』でしょ」
「違うの。パーカッションは関係なしに『ハードッコイ』って入るから
面白いんじゃないの。分かってないわね」
そこから、麻田君たちは唄うのも忘れ、合いの手談議になった。
麻田君は『ウントコドッコイ』。
彼女を含む他の3人が『ハードッコイ』。
旗色は悪いが麻田君は粘った。
『ウントコドッコイ』の方が気持ちよく入れるからだ。
しかし、彼女も頑固だった。
やがて問題は、合いの手だけに収まらず、
「誕生日のプレゼントに、ウケ狙いの品を選ばないで欲しい」
とか、
「何でも良いって言ったのに、『今日は中華の気分じゃないのよね』とか言うのは反則だ」
など、互いに日頃の不満を言い合うような展開になってしまった。
段々過激になっていく口論に、友人2人はマズいと思ったのか、
カラオケにゆったりとしたスローバラードなどを選曲するなど気を使ってくれたが、結局麻田君と彼女は、それ以降一曲も歌わずにカラオケボックスを後にした。
それでもしばらく二人の交際は続いたが、
デート中に明菜の曲が聞こえてきたり、「デザイア」や「ドッコイ」などの単語が目につくと気まずい雰囲気になり、数か月で二人は別れてしまった。
ところが音楽にまつわる物語というものは、意外にずっと心に残るもので
未だに麻田君は、カラオケで「DESIRE」を歌う人がいると
「ちょっとトイレ」などと言って席を立つという。
そして、少し離れたところで、
ボックスから漏れ聞こえてくる「DESIRE」の「な~んてね」の後に
「ウントコドッコイ」と、一人で合いの手を入れているらしい。
おわり
そもそもこの合いの手がいつ始まったのか。歌謡曲に民謡のような合いの手は必要なのか。多くは結論が出ない問題として残っています。
まあ。それだけこの曲が魅力的だという事でしょうか。
『ウントコドッコイ』か、『ハードッコイ』か。
どなたか答えをご存知の方は、是非お教えください。
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