感情に刺さるを目指さない作品は作っても無駄

7/19に向けて生意気な話をする、の38回目です。今お手伝いさせていただいている3つの公演について話題にしても良いとご許可を頂きましたので、チラシを取り急ぎ掲載させてもらいます。それぞれの公演についてはまた機会を見てお話しできればと思います。

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言い出してから色々な方にご協力を頂いていて、同時にいろんな方に背中を押してもらってそのおかげでイベントの準備が進んでいる実感があります。それも恐らくはこのイベント企画の趣旨や運営がたまたま刺さる内容だったからかなと思います。

今回はこの刺さる内容について、今整理できている範囲ではありますがまとめてみたいと思います。拙くともある程度の理論っぽくまとまっていれば、後に続く方の参考にもなるだろうし洗練もされていくと思いますので。よろしくお願いします。

根本的なお話ですが人間感情で生きる生き物です。twitterでも観測されますが、デマの拡散速度は感情的なものであればあるほど早く、それを訂正したツイートは全くと言っていいほど広がりません。リプをぶら下げても1%いけばいい方ですね。感情的なものほど動かされやすく、記憶しやすい性質を我々は持っています。

紳助さんが紳竜の研究にて「心で記憶したものは一生忘れない」といった旨の発言をされていますが、これは脳科学的に正しいものでして。生き物がなぜ感情を持っているのかと直接関係のある話でもあります。

生きていく上で、危険なものや安全なものは出来るだけ早く引き出せるようにしておかないとその身体はすぐに死んでしまいます。記憶にどこかで差をつける必要があって、その差として使われているのが感情という機能です。

大きな痛みは見ていても悲しみを生みますが、これは苦しんでいる仲間をみて疑似的にその痛みを共有し、その痛みを避けるために悲しみというバイアスをかけて我々は記憶します。同じ事故を防ぐためです。

要するに感情は体の痛みや喜びをより強く記憶するためで、これは身体を守るために備わった機能です。ですから強い喜び、強い悲しみ、強い怒りといった感情と同時に記憶したものは記憶に強く焼き付くことになります。

逆に言えば感情を動かさない限りは心に刺さることが無い為なかなか覚えてもらえません。学校の勉強と同じですね。実は中学時分、いじめの対象だったため誰に何をされたかはよく覚えています。辛かった思い出ですから。でも、その日にあった授業内容はほとんど覚えてません。中学の時にやったやんと言われてもやったっけ? となるレベルで覚えていませんw

自分が舞台論で落ちたら怪我をする高さの鉄骨を渡れと言っているのは、背負っているリスクという物がこの感情を引き出しやすくする仕掛けの一つとして機能するためです。

そしてリスクを背負う以外にも、そもそもの作品そのものに感情に刺さる何かがあれば、人はそれを強く記憶することになりますので手段としてはそちらも検討に入れるべきかと思います。

実体験を元にしますが、30分のステージの中、一つの曲のサビの冒頭というわずか五秒ぐらいの短時間、全体の割合で見ても1%にも満たないその5秒が面白かったがために全体の評価が底上げされているバンドさんというものがありまして。

紫のパンツ / The Flying Pants
https://www.youtube.com/watch?v=TQUTFCfJQEo

この曲をライブで見た際に、冒頭の「紫のパンツを頭からかぶり」が笑いのツボに刺さってしまい、この曲に関してもここしか覚えていないんです。ここしか覚えていないんですけど、いいバンド、面白いバンドと言う評価が自分の中に根付いてしまっています。

歌詞を聞いた際に思い浮かんだ絵面があまりにも面白くて。絶対女物のパンツですしw 多分一生忘れない曲なんだろうなと思いますが、ここで重要なのはやはり「歌詞が」という所かと思います。

恐らく別のメロディでもこの歌詞なら覚えたでしょうし、逆に同じメロディでも違う歌詞であれば覚えなかった可能性は高いと思います。言葉、特に母国語は見聞きした際に自然とイメージを伴うものですから感情を揺さぶりやすい性質があります。ゆえに言葉を届けるボーカルの力量は、バンドという集団にとって最も重要な存在となります。

歌詞カードを配布したところで、上演中のライブハウスでは読みながら見てもらう事は照明の都合で困難ですし、音源を売ろうにもまず曲で引っかかるものが無ければ手に取ってもらえません。

日本語で歌っていたとしても、初めて聞いた曲を頭から最後まで覚える記憶力がある人はまずいません。曲全体を聞いて理解できるような楽曲ではなく、ワンフレーズ、歌詞の中のどこか一か所が引っかかる楽曲を作れるか否かは作り手として取り組むべき課題かと思います。

一応メロディで感動を覚えることは有りますが、極めて稀な経験です。その点を考えるなら、理解できない外国語はイメージを伴わないものですから、無名のうちは特に日本語の歌詞にこだわりを持つべきでしょう。

今回はここまで。実は半分(もしかしたら1/3)なのですが、長すぎると頭に入りませんし。話題の区切りも続きは次回に。

7/19にノルマゼロ、1枚目から70%バックのライブを大阪は出戸オルトラウンジにて開催します。200人入らないと赤字です。ご来場、twitterのフォロー、noteのご支援なども頂けましたら幸いです!


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