特集 命について 前口上
私は2013年から辞書を読み、書き、呟く辞書の旅を楽しく続けています。気づけば10年が過ぎ、これまでに4冊の辞書を読破しました。現在は広辞苑第7版に挑戦中で、現在「あ」行の「う」に入っています。
先月の辞書の旅では『特集愛について』として新明解国語辞典、明鏡国語辞典、広辞苑という3冊の辞書の愛を読み比べ、書き比べて、真の愛に近づきました。好評だったので継続しちゃいます!
ということで今月は『命について』です。前回の愛の書き比べは、同じ構図を心がけました。しかし今回の命は、楷書、行書、篆書という3つの字体に分け、それぞれに相性の良さそうな紙を合わせました。
書道を再開して2年。これまで様々な紙に揮毫(筆で書くこと)をしてきました。その中で今は、神麗、楮鳳という2種類の高級半紙を軸に清書を書いています。また、書道専門店などで初めましての半紙を見るとつい購入してしまいます。たまの気分転換として、書き味の違いを楽しんでいます。紙の個性や書き味などは、目で見て指で触れば大体わかるようになりました。
今の自分とは相性の悪そうな紙でも、手元にはこの紙しかないのだ、という気持ちで書きます。すぐに違う紙には移行せず、しばらく我慢して続けます。それでもなお上手くいかなければ、違う紙にしたり、字体を変えることもありますが、負けた気持ちになりますね。
しかし切り替えて、すぐに次に行かなくてはなりません。なにしろ「課題」は毎日来ます。大変です。
課題とは、広辞苑第7版をほぼ毎日3P読み進め、それぞれ計3語揮毫することです。他にも、同じ半紙で100枚浮気せずに書き切る、というような自分との約束をいくつか課しています。今では自由時間の多くを、辞書の旅と書道に費やす人生となりました。
書道教室に通っている訳ではないので、自分で試行錯誤して判断しなければなりません。正解や勝敗もないけれど、より美しく見えるように工夫したり、心を込めたり、目立たせずに遊べないかを考えます。
また、古典を必ず参照します。だから、ずっと臨書していることにもなります。書き順も徹底して正しく書きます。それでも気を抜くと間違えます。愚かなものです。
自分で書道というのは小っ恥ずかしい気もしますが、辞書の意味を考え、古を貴んで揮毫しているので、吉としましょう。雅号も作っちゃいました。具鷲です。
2023年には初の個展も開催しました。サムネイルの書はプロとしてふさわしい額で買っていただきました。
真の命の意味がわかる!?
今回、真の命の意味が、かなりわかることでしょう。なぜなら3冊の高名な辞書の語釈を読み、字もじっくり見るわけですから。
この世に生を受けて生きている限りは、必ず近しい人の死に直面します。そんなとき、命について考えた人も多いと思います。命ってなんでしょうね。
辞書の凄いのは、さまざまな宗教の観点を網羅していることです。また、一面的な見方だけではなく、相当多面的です。前回の愛に関しても、仏教やキリスト教双方の解釈がありました。
命に宗教的な考えの違いはあるのか。命を洗うことはできるのか。命はダークマターでもあるのか。命を盗む人は美女なのか。美女はやはり、国を傾けたりするくらいの命取りになるのか!
と、その前に、なにとぞグルメ紀行をお楽しみください。今月は名古屋名物ながら好き嫌いの大きく分かれる、あんかけパスタ特集です。それではなにとぞ君、よろしく。
明るく生こまい
佐藤嘉洋
ブルート通信 vol.189 / 明生人嘉 〜 MyojoJinka 〜 117話