不思議な夢の話-其の壱-
以前書いたチョコレートの話に登場した祖母が亡くなった後、今でも忘れられない不思議な夢を見た。
その夢を見たのは祖母の四十九日の晩。
法事を終えた僕ら家族は、四十九日で法事も一区切りついたねと、早めの夕食を取った。
祖母の生前の話をしながら談笑し、少しずつだが祖母がいない日常に慣れつつあった。
父や母は疲れもあったのかいつもより早く就寝。
僕は1人で晩酌をしながら、祖母が小さい僕を抱く写真をぼんやりと眺めていた。
おばあちゃんっ子だった僕にとって、祖母の死はやっぱり寂しかった。
いつもより、深酒になってしまった事もあり、布団に入ってから、直ぐに寝付いた。
気付くと夢を見ていた。
夢を見ていると実感している、いわゆる明晰夢、であった。
夢の中で、僕は真っ白な無機質な広い部屋にいた。
部屋の中央に、向かい合った脚の長い椅子が2つ置かれてあり、その一方に祖母が座っている。
そして、もう一方の椅子には弟が座り、祖母と何やら会話をしている。
その少し後ろに妹が立っており、どうやら会話の順番を待っているようだった。
やがて、妹に順番がまわる。
祖母と妹が会話をする。
そして、僕に順番がまわって来た。
そこで気付く。
無音だった。
明晰夢ではあるものの、全くの無音。
弟や妹の会話も内容は分からない。
やがて夢で僕も祖母と会話をするが、内容は一切分からない。
ただ、祖母は生前の優しい笑顔で僕ら3人に言葉をかけてくれていた。
それだけで内容が分かった様な気がした。
そこで目を覚ます。
すっかり朝だった。
枕が涙でグッショリ濡れていた。
やっぱり、祖母の死は僕にとって大きく、その寂しさから夢を見たのだろう。
ただ、枕を濡らした涙が、ただ悲しいだけの涙ではなく、半分はこれからを生きて行く決意の涙だったのではないかと、今では思う。
そして、四十九日が終わるまで、本当に故人は家族の近くにいるのではないかと思った夢であった。
最後まで、気にかけてくれた、ばあちゃん。
ありがとうね。
ばあちゃんがきっかけで福祉の仕事を始めて、今では楽しくて仕方ないよ。思えば夢を見た朝、目標の資格を取る為に一気に行動したなぁ。
今でも、ばあちゃんっ子だと、夢の話を思い出して再確認。
次回は夢の話の第二弾を書きたいと思います。
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