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無職、矢坂 平四郎が見届けた! (三匹が斬る!)

斜陽の時代を迎えた時代劇はただ変化を拒んだわけでもなく、その時代毎に新しい風を取り入れてきました。

そんな新しい風の一つと個人的に思っているのが先日も記事にした三匹が斬る!です。

3人のリーダー格である殿様こと矢坂 平四郎を演じるのは以前遠山の金さんで触れた高橋英樹さんでこれがまぁかっこいいわけですよ(゚∀゚)ノシ キャー ヒデキー!

殿様は少しばかり浮世離れした感がある浪人です。そして立場が不安定な浪人とは思えない程に地に足がついた言動と行動が眩しい、まさに時代劇で我々が思い浮かべる様なお侍さまでもあります。湯屋(銭湯)で薪割りもするけど。

とにかく芯の通ったお人好しで困難を前にして道を踏み外しそうな者には道理を説き、自身も説法だけに終わらず世の不条理に真っ向から立ち向かいます。

その際に述べる口上が自らの立場を示すものなんですよね。

「この浪人、矢坂 平四郎が見届けた!」


言い回しは都度違うものの殿様は要所要所で場を収める為に見届人としての自分の立場を明確にします。

でもこれ現代的に翻訳するとこんな感じじゃないでしょうか。

「この無職、矢坂 平四郎が見届けた!」


なんだか一気に浮世離れした怪しいおじさんの世迷言の様に聞こえてしまいます(;´Д`) ゴメンテ


江戸時代は浪人とはいえお侍さんという大枠での身分制度の上澄みにいる人間なので少しは説得力があるのだと思います。ですが現代では基本的に身分制度もなく、精々職務経歴で大企業の部長でしたとかが関の山です。

「この無職(元大企業部長職)、矢坂 平四郎が見届けた!」


駄目です。これだと辞めた会社の役職に縋る老害おじさんになってしまいます(゚д゚)

総理大臣、辞めてしまえばただの人という言葉もある位ですから、ここは経歴に絡めない方が良いのかも知れません。


なんだか微妙な話になってきましたが、この殿様の台詞は実のところとても深いものに感じるのですよね。常日頃浪人(無職)という己の存在を卑下していない立ち回り。創作とはいえ自由闊達に世を生きるその姿に他者へ媚びへつらう姿勢はありません。

あくまで一人の人間、矢坂 平四郎として。肩書は礼節の上で語るのみ。そういった強さを感じるのです。

そんな中でネタにしたあの台詞をもう一度引っ張ってきてみましょう。


「この無職、矢坂 平四郎が見届けた!」


恐らく現代に殿様が存在し、ここぞという場でこの台詞を発したとしたら・・・ネタとして笑うどころか本当に説得力があるんじゃないかなと思います。

殿様はこの台詞を発する迄の流れでたいてい説得力を持たせるだけの「行動」をしています。

その行動も常に正しいというよりは血の通った人間らしさが溢れているのですよね・・・過程で仲間達と小判をジャラジャラやったりとか(笑)

ヒャーハッハー!


世の中「どんな事を言ったのか?」ではなく「どんな立場の人間が言ったのか?」が重要視される場合が多いと思います。

別にその事自体は信頼するソースを見つける点で悪い話でもないと思います。ですが中には「〇〇な肩書(実績)を持つ〇〇さんが言ったから全て正しい!」という条件反射的な賛同も目にしたりと。


「この浪人、矢坂 平四郎が見届けた!」


根無し草な殿様のこの台詞は痛快娯楽時代劇のノリで叫んでいる様にみえて、案外深い話だったのかも知れませんね・・・え、深読みしすぎ?(笑)


<次のお話>

<前のお話>

<サブカルざんまい>
サブカルチャー的なものを中心に緩く語っています(゚∀゚)


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