![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/166064994/rectangle_large_type_2_c74b7a7bf8a287cdde0b644f0df613a8.png?width=1200)
ぐん税ニュースレター vol.52 page03 -マーケティングコンシェルジュ-
これまでいくつか定番のマーケティングのフレームワークをご紹介してきましたが、ド定番の4P分析についてまだ解説していなかったので、今回は4P分析について解説したいと思います。以前にマーケティングの階層構造を説明した際に少しだけ触れてました。
4P分析はProduct(製品)、Price(価格)、Place(流通)、Promotion(プロモーション)の4つの視点でマーケティング戦略を立案する際に用いられるフレームワークです。4P分析というそれっぽいネーミングで定着していますが、マーケティング活動を行う上では自ずと必要になってくる視点だと思います。
Product(製品)
商品開発段階では様々なマーケット調査や自社技術・研究、試験などを経て世に出す製品(商品)を決定すると思います。市場展開が決定しているのであれば有形無形問わず、まずは製品(商品)ありきでマーケティング戦略を立てると思います。具体的には製品の機能的価値=自社の強みやコア技術、ブランド、パッケージ、アフターサービス・保証について検討することです。製品はターゲットとする顧客のニーズを満たす必要があります。
Price(価格)
基本的には原価や仕入れに利益を乗せるコストプラスやマークアップ方式で価格を決定すると思います。価格戦略としては競合他社や代替品の価格や製品の特徴を反映していくものになります。市場シェアを早期に獲得するために低価格で設定するペネトレーションプライシング(市場浸透価格戦略)やブランド力がある場合には高価格戦略で差別化することもあります。最近では需給(時間帯やシーズン)に応じて価格調整するダイナミックプライシングを導入する企業も増えています。
Place(流通)
若干、無理やりPに当てはめてる感がありますが、Placeは流通のことです。つまり顧客がその製品をどういった経路で入手するか、という点になります。最終的に顧客が商品を購入するのは実店舗かネットになると思われますが、そこに届けるための物流もここで検討することになります。最近では自社でトラックや配送網を持たない3PL(サードパーティーロジスティクス)や環境に配慮した流通業者などもあり、それが価格や付加価値に転嫁されることもあります。最近では廃棄や回収等の静脈物流まで考慮するケースもあります。
Promotion(プロモーション)
これはもう馴染みあるカタカナ英語のままです。言葉としては馴染みがありますが、中身は奥が深いと言いますか対象範囲が広いので実際の取り組みは大変です。これまでいくつかのメディア戦略や広報戦略を紹介しましたがvol.49の記事で紹介したリテールメディアによるインストアプロモーションもその名通りここでの取り組みになります。認知されないことには商品は売れませんので、顧客との最初の接点をつくる重要な戦略です。
以上が4P分析の概要ですが、企業活動においては至極当然な取り組みと言えるのではないでしょうか。ですが、このマーケティングの4Pは1960年にアメリカのマーケティング学者、マッカーシーが提唱したもので当時の"作れば売れる"という大量生産・大量消費の時代に生まれたプロダクトアウト(=企業側の視点)の思考が強く反映されたものです。昨今では技術進化のスピードや顧客の興味・関心の移り変わりの早さなどにより商品のライフサイクルが短くなっており、顧客のニーズを細かく反映した多品種少量生産の傾向が強いためマーケットイン(顧客側の視点)の重要度が増しています。
企業側の視点では4Pと称されるのに対し顧客側の視点では4Cと称され、それぞれが対の意味合いになっています。
Product→Customer Value(顧客価値)
どんなに優れた商品であっても顧客のニーズを満たしていないと商品は売れません。顧客が求める価値や喜ばれる価値を考える必要があります。
Price→Cost(コスト)
企業都合で設定した価格ではなく、顧客が価値に払える対価、購入までにかかるコスト、移行コストなど総合的に考慮する必要があります。
Place→Convenience(利便性)
顧客にとっての商品の入手のしやすさです。実店舗であれば店舗立地、細かい話をすると駐車場の有無なども含まれます。ネットならサイトの使いやすさや決済方法が含まれます。
Promotion→Communication(コミュニケーション)
企業側による自社よがりの発信ではなく、顧客とどのような接点を持ち、顧客が必要とする情報を届けられるかが重要です。近年では顧客との相互コミュニケーション戦略の重要度が増しています。
企業が自社の強みや技術力を活かすのは重要ですが、それを基本としながら顧客に寄り添う戦略が近年ではより重要になっています。特に商品の認知から購買後に至るまでの顧客の行動はここ数年で劇的に変化しています。
今後も基本的なフレームワークは紹介できればと思いますが、これまでに紹介したものも含めて多面的にフレームワークを活用することでより効果的な戦略を立てることができます。
今回、ブランド戦略や価格戦略についても少し関連性がありましたが、このあたりも今後記事にできればと思います。
マーケティング 原