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撮り歩き、ぼやけた写真

 先日買ったPolaroid SX-70 First modelを試すため、雨が降る中都会を歩き回る。

 これまで使ってきたどのカメラよりもフィルム一枚の単価が高く、どのカメラよりも出てくる写真の予測がつかない恐ろしいカメラだ。

 折り畳み式の一眼レフカメラ。レンズも焦点距離も固定。畳むと薄いが、B5サイズより一回り大きいサイズ。厚さは2センチほど。サイズと見た目に似合わず、持ってみるとなかなかどうしてずっしりと重たい。

絞りはf8固定、シャッタースピードは自動で変わる。バッテリーに関してはフィルムパックに内蔵されているためジャンク箱に入っている物を動作確認するのが難しい。その上8枚撮りで2800円ほどするフィルム。一枚単価は約300円もする。

 欲しい欲しいと思いながら2年ほど経ち、急にポラロイド欲が再燃したので思わずオンラインで買ってしまった。

 2日後に到着。いわく通電確認のみ、動作確認はできておらず試写もできていない物だそうだ。1パック2800円のフィルムをおっかなびっくり込めて、何を撮ろうかと思案。雨か、都会に出れば傘が沢山歩いていて楽しいだろう。大阪がいいかな、用事終わりに少し寄ることにする。

 今回込めたフィルムはSX-70カラーフィルム。ISOは160くらいらしい。これ以外では同じ名前同じ感度のモノクロフィルム、600フィルムという名前でISO感度が640だか800だかのフィルムがある。本体の改造がされていない限りどちらか一方しか使えない。シリーズで違うのでお店の人に聞くといい。

 大阪は梅田の駅前、グランフロントの足元で一枚。シャッターを切った直後に激しいモーター音。それと同時にカメラの前面からフィルムが吐き出される。出てきたばかりの写真は真っ青、現像処理をこの一枚で完結させているというのはなんとも不思議だ。像が浮き上がりしっかり見えてくるまではポケットの中で待機させておく。

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 露出補正は+-0、明暗差が激しい建物の日陰。思っていたよりもコントラストが強く出た。ハイライトはほとんど飛び、シャドウはほとんど潰れている。これはこのフィルムの特性なのかそれともカメラがイカれているのかまだ判別がつかない。

 小雨が降る中、FujifilmのX-PRO3を片手に街中を歩き回る。どんな場面がポラロイドに合うのか、とにかく撮らない事には始まらない。

 10分ほど歩き、ヨドバシカメラの前に来た。そういえば、目の前にある大きな交差点をちゃんと撮った事が無かったことに気が付いた。せっかくだ、撮ってみる。

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 こちらに関しても露出補正は+-0。一枚目に比べ明暗差がそこまで激しくない場面だが、それでもかなりコントラストは強く見える。こいつはどこで露出を決めているのかまだよくわからない。

 普段中判のフィルムを使う時よりもかなり気を遣いながら撮ってしまっている。フィルム単価も勿論ながら、出てきた写真のクセの強さに困惑してしまっていた。どこにどう狙いをつけると思い通りになるのか。もしかして思い通りに撮ろうとする事自体が間違いなのか。

 何枚か撮ってふと思う。ほかのカメラと違い、込めているフィルムを全て使い切らなくてもいいのはかなり気が楽だ。そういう意味では使いやすい。特別な思い出を残すためにフィルムで撮っても、すべて撮りきれなかったら最悪次の思い出作りの後まで写真を見れないなんて事もあり得る。

 そう考えたら少しだけ気分が軽くなる。急いで撮りきらなくてもいいんだ、残りの数枚は晴れている時に試しに行こう。

 しかしそうはいかないのがオタクの悲しいところ。結局シャッターを切るのが楽しくなってしまい撮りきってしまった。

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 こちらも露出補正は無し。本当ならもう少し入り込みたいところだが、勝手に無関係なマンションの下に入り込むのは気が引けてしまった。しかしこれは他の数枚に比べて自分が考えていたイメージに近いかもしれない。撮影手順は一緒なので違いはわからないが。

 一本撮り終えて考える。本体の値段やフィルム単価を考えると、えらくコストは悪い。正直なところ、上手に撮れてレタッチができる人ならデジタルで十分再現可能だろう。と言うか今の時代フィルムに関してはほとんどがそうなのではと思う。

 ならなぜ、わざわざ自分はこんな時代遅れで金もかかるカメラを使ってまで道端の写真を撮るのだろうか。掘り下げて考えるのは今はやめておく。結論が出てしまえば、この楽しい趣味の熱が冷めてしまうかもしれないから。



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