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創作

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創作した物語はこちらからお読みいただけます。 完全な創作ではなく、私が経験した出来事に脚色を加えたものもあります。 もしかしたら私の思い出が少し乗っかっているかもしれません。
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#創作大賞2023

6年3組 問題児選抜クラス 密告係K君

6年3組 問題児選抜クラス 密告係K君

「いつも先生に捕まって怒られるのは僕だけさ」
この言葉を聞いたとき、とっさにある歌詞が思いつく方はいらっしゃるだろうか。いるとしたら、とてつもない記憶力の持ち主か、大の合唱ファンであろう。

答えは、合唱曲「see you」の中の一節である。

私が通っていた小学校ではこの歌を授業中によく合唱していた。
合唱に力を入れていた学校(どんな学校?)ということもあって、大人になった今でも歌詞を口ずさむこ

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雨に濡れたコンクリートの匂い

雨に濡れたコンクリートの匂い

頬を雨がかすめた。
程なくして雨に濡れたコンクリートの匂いが立ち上って鼻腔を刺激する。

匂いは記憶のトリガーだという。コンクリートの匂いは、雨に濡れて輝いたその色は、私の中に長く隠れていた記憶を呼び覚ました。そう、雨の中でコンクリートの上を一生懸命走っていたあの日々である。

僕は中学校に入り陸上部に入った。部活動体験で色々な部活に行ったが、結局は部活の内容よりも先輩や同級生の人柄で陸上を選んだ

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俺は異国の地で、弱い自分と決別した。

俺は異国の地で、弱い自分と決別した。

未熟な自分が嫌いだった。弱い自分と決別したかった。自分で自分が弱いことは痛いほど分かっていた。
この劣等感は私の人生に常につきまとって邪魔をするものだった。
好きな子に告白するときも、友達と喧嘩するときも、この劣等感は常に心の中で愉快にタップダンスをし、「なりたい自分」になることを許さなかった。

いつか未熟な自分と決別できる時がくるのだろうか、いや決別しなければならないのだとは分かっていた。だが

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