トイレにまつわるあのねのね
あなたは、トイレを覗かれたことがあるでしょうか?
わたしはあります
ちなみに、うっかり覗いてしまったこともあるんです
あれは、幼稚園の時でした
なんだよそんなの、覗きでもなんでもね~ジャン・・・・いえいえ、そうではありません。なかなかに、園児といえども「女」ということを思い知った事件でした
当時わたしが通っていた幼稚園は、年少さん2クラス、年長さん2クラスの小さな幼稚園でした。新設されたばかりの幼稚園で、先生方も初々しくてとてもやさしかったことを覚えています
今の幼稚園はどうか知りませんが、当時の幼稚園のトイレのドアは、下は10cmほどの隙間があり、上は園児の背よりも高いが、大人であれば上からのぞき込める程度の大きさの、蝶番式のドアでした。おまけに、園児のトイレということから、鍵がついていませんでした
わたしの幼い頃なので、水洗トイレでもなければ様式でもありません。昔ながらの和式のぼっとんトイレで、覗きこめば真っ暗な、風(換気扇)の音のするトイレでした
ある時、わたしは急いでトイレに駆け込み、knockを忘れてドアを開けてしまった。自分がびっくりしたのと「キャ…」という声が同時だった。幼稚園児なのに「キャ…」って、という突込みもさながら、わたしは即座に謝ってドアを閉めた
彼女にはそのあとしつこく責められ、顔を見れば謝る日が続いた。でもいつも「ぷい」とするだけでとりあってくれない。そのうち話し掛けようとしても背を向けられ、無視されるようになった。状況が状況でしたから、わたしがそうされる理由は広まってはいませんでしたが、幼いわたしはその子を「怖い」と思うようになった
ある時、わたしはトイレに並んでいた。すると、覗いてしまった彼女がわたしのうしろに並んできた。わたしは汚名返上の機会とばかりに、前の子が出たあともちゃんとknockをしてトイレに入った
すると、わたしがトイレに入ってすぐ「トントン」とknockされたのだ。わたしは「入ってます」と元気に答えたが、次の瞬間ドアの開く音がして後ろを振り返ると、わたしが覗いてしまった彼女がドアの隙間に顔を挟んでこちらを見ていた。わたしはもう一度「入ってます」と答えましたが、彼女は身じろぎもせず、ドアを閉める気はなさそうでした。結局、わたしがトイレを出るまで、彼女は同じ姿勢を崩さなかった
わたしはその後、彼女を責めることはできませんでした。最初に覗いてしまったのはわたしだったし、やっぱり怖くて、それ以上追求できまなかった。今考えると悪質だなと感じます。でも、彼女にとっては謝ったからといって許せる行為ではなかったのでしょう
わたしは間違って開けてしまった。それは悪いことだし、申し訳ないと思います。だから彼女は、同じ思いをさせようとしたのだと思います。明らかに仕返しのつもりだった。わたしのうしろに並び、knockしてわたしの返事を確認して開けたのだから・・・・
園児ながら、もやもやとした気持が残りました。結局わたしは、幼稚園を卒園するまで彼女と口を利かずに終わった。彼女はずっとわたしを許してはくれなかった。その子は小学校に上がると間もなく、転校してしまい、もう忘れていると思うけど、女の怖さを知った苦い思い出