【本を読んで考える】15歳の私が純粋に楽しんだ作品を、30歳の私はドロドロの男女劇として嘲笑した
小川洋子という作家名を知らずとも、『博士の愛した数式』という作品を知っている人は多いのではないだろうか。
同作は、80分しか記憶の持たない数学者と、その家政婦、そしてその息子の織り成す心温まる物語だ。…というのが一般的な説明だろう。
実際私も、30歳になってこの作品を読むまではそう思っていた。
初めて読んだ中学生のは頃。博士とルート君のやり取りは、数学や理系の進路への親近感を持たせてくれた。
しかし今作を30歳になって改めて見ると、博士と、博士を自分の家に住まわせる博士の兄の妻がやたらと目につく。
博士が記憶障害になるまでに、何があったのか、無性に想像してしまう。
多分、中学生の私はこの人を大した登場人物として認識していなかっただろう。
しかし、30歳にもなり、多少なりとも男女のもつれとして、「好きになっちゃいけない人との禁断の恋」というジャンルがあり、これで火傷を負う大人がけっこういるという事実を知った今、この人の物語を追っていると、綺麗な週刊文春を読んでいるような気持ちになるのだ。
無論、禁断の愛に実際に手を出したことのある人や、それによって傷を負った人にはもっとこの女性が染みるように目に入るのではないだろうか。
私も将来そうなったら、この本のまた違う味わいを感じるのだろうか…と考えてもしまったが、こればかりは想像にとどめておこう(笑)
物語を再び読む時、以前に読んだ時と、こころの違う部分が反応することは、みなさんも経験があるのではないだろうか。
しかしこんなところに反応するとは、、、。
もうすでに読んだ人は、ぜひ再読を。
はじめての方にも、ぜひ読んでもらいたい、神作。
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