番外編:グアテマラ 緊急支援へかける想い
このnoteは、中米グアテマラを愛する日本人がバトンをつなぐ、エピソード・リレーです。このリレーは「新型コロナウイルスの影響を受けたグアテマラの貧困層への食糧配布プロジェクト」を応援するために企画されました。
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今回は番外編として、「新型コロナウイルスの影響を受けたグアテマラの貧困層への食糧配布プロジェクト」を立ち上げたMAYSOL代表の呉原が、当プロジェクト、そして支援先のウィタン地域の人々への想いを語ります。
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初めまして、株式会社ボーダレス・ジャパン、MAYSOLの共同代表、呉原郁香(クレハラアヤカ)です。
簡単に自己紹介を。
小学生の時にストリートチルドレンやHIV/AIDSで亡くなっていく子ども達の状況を知り、どうして生まれた国や地域、環境によってこんなにも大変な思いをして生きている子供たちがいるんだろう...と大きなショックを受け、その日は眠りにつけなかったことをよく覚えています。そして小学生ながら、将来は必ずこのような子どもたちのために働くんだ!と決意しました。
学生時代は、国連の掲げるMDGs(今はSDGsにグレードアップしています)をベースとした政策、ガバナンスを学び、2年間休学をしてガーナ・グアテマラ・ウクライナにてNPOやNGO、UNDP(国連開発計画)で働き、国際協力に携わりました。
21歳の時に、グアテマラで現地のスペイン語講師を雇い、安定した雇用を生むオンラインスペイン語教室を開講するSPANISIMOの創業者の元で、8ヶ月ほどインターンとして働かせていただきました。そこでグアテマラの子どもたちの貧困状況を目の当たりにし、またグアテマラ人の陽気さやポジティブさに魅了され、グアテマラの子どもたちのために事業をすると誓い、ビジネスで社会問題を解決するボーダレスジャパンに新卒で入社しました。
2年間事業リーダーとしてグループ会社であるビジネスレザーファクトリーで働き、バングラデシュにて約300人の雇用を創出。その後、結婚・出産を経て2017年、グアテマラ・ケツァルテナンゴ県のウィタン地域にて、グアテマラ出身の夫(トニー)と共同でMAYSOLを設立しました。
なぜウィタン地域?
夫のトニーがケツァルテナンゴ市(グアテマラ第2の都市、通称シェラ)出身であること、そして私もインターン中にシェラで生活していたことから、拠点はシェラにしようと考えていました。そんな中、夫の友人であるMAGA(農牧省)の担当者から、シェラ近郊で最も政府やNGO、NPOの援助がなく、極貧世帯の比率が高いウィタン地域に今から行くから一緒に行かないか?と連絡が入りました。当時は別地域を検討していたのですが、すぐにMAGAの担当者と共にウィタンへ向かいました。
そこで初めてウィタンの人々の生活状況を知り、ウィタンで活動するルベリオに出会いました。彼は、シェラのNGOより支援を受けウィタンの人々に農業教育や就業支援などの活動をしていました。
教育や働く機会を少しでもウィタンに創るため、様々なNGOやNPOの呼び込みも行っていましたが、数ヶ月、数年で終えるプロジェクトばかりであり、「ちょうど1ヶ月後にはNGOの支援がなくなる。ウィタンの人々のためになんとかできないか。お金は要らない。援助ではなく持続可能な仕事の機会を創りたい。私の妻も学校の先生をしているが、初等教育も終えられない子どもたちばかり。多くの人が仕事を必要としている。」という彼の熱い思いも聞きました。
初めて行ったウィタン。多くの子どもたちが穴の開いた服を着ている。初めて見るアジア人に興味津々。でも恥ずかしいのか、話しかけても無言の笑顔のみが返ってくる。そして何人かの老人は目に障害があるようにも見えました(後にビタミンAが足りず、目に障害ができていると知りました)。約2割の女性が公用語のスペイン語を理解できず(この地域では先住民言語のマム語が話されています)、多くの各家庭は必要最低限のキッチンとベッドのみ。男性の仕事は決まったものがなく、裏庭でとうもろこしや少しのじゃがいもを育てる自給自足に近い生活。数匹の豚や鶏を飼い、月に1度肉を食べているとのこと。
ウィタンの多くの家庭は、私が小学生の時に見たドキュメンタリーの子どもたちや家族のようだな...と感じました。
そして、ルベリオの真っ直ぐなウィタンの人々に対する情熱を知り、彼と共にウィタンの子どもたち、人々のために事業を行うことを決めました。
右端がルベリオ
ウィタンってどんなところ?
ウィタンはシェラの中心地より北へ36km。標高が2,600mの山岳地域です。水の使用が規制されており、雨があまり降らず乾燥した土地であるため、野菜の栽培などには向かず、少しのとうもろこしを育てています。また、政府によって危険地域に指定されているため、政府からの援助や民間の投資などは一切入ってきません。小さな商店などはありますが、都市部から物を運んできているため物価はシェラよりも10%以上高くなります。
ウィタンにある仕事といえば建築の日雇い労働であり、また、アメリカへ出稼ぎに行った男性家族を頼って生活費を賄っています。そのため、多くの家庭では女性や年配の方がウィタンに残り、牛や鶏、豚などの家畜を売ることで少しの稼ぎを得ています。人口の90%以上はマヤ系先住民であり、初等教育を終えていないため読み書きのできない人が多くいます。
私たちは会社を設立するにあたり、弁護士や会計士、そしてウィタンの市長さんともミーティングを重ねてきましたが、ウィタンで起業する初めての企業であり、企業名で土地の購入や建築を始めるのも第一号だ!本当にここで事業をするのか?と市長さんまでに心配された。なんて裏話もあります(笑)
MAYSOLが目指すビジョン
『グアテマラの貧困層の子どもたちが教育を受け続けられる社会を創ること』です。私がいつも気にかけているのは、子どもたちが教育を受け、貧困の連鎖から抜け出すこと。
MAYSOLはどんなことをしているの?
そのために子どもたちの両親を雇用するための事業モデルを考えました。
しかし、、、水がなく、農業に向かない地域。標高が高く寒暖差が大きい。首都からも遠く、工場で何かを生産をするのにも効率が悪い。強い男尊女卑文化がある。初等教育を終了していない多くの人々が継続してできる仕事とは...?
ゴミ処理事業や、バラ栽培、養殖など本当に様々なビジネスモデルを考え、やっとの思いで委託養鶏にたどり着きました。
(でも養鶏なんてやったことないし、ましてや鶏にも触れない... そんな中で始めた養鶏事業。もしお時間ありましたらどのようにして養鶏事業を始めたのか、こちらのブログもご覧ください。)
MAYSOLは、子供を小学校に通わせ続けることを条件とし、お母さんたちに自宅又は自宅近くの私有地での養鶏作業を委託しています。鶏小屋や鶏、餌、鶏の飲料用水フィルターや飼育のノウハウなど、卵の生産に必要なものは全てMAYSOLで提供し、お母さんたちは毎日200羽〜1000羽の鶏に餌をやり、鶏小屋を掃除し、卵を回収します。そして鶏の世話と卵回収の作業料として、給与を受け取ります。
また、この地域では、新鮮で安全な卵がほぼ流通していないため(現地で販売されている卵の多くは、メキシコ等から輸入された1ヶ月程前の卵です)、飼料を改良して新鮮で栄養価の高い卵を他の卵と同価格で販売することで、地域全体の健康状態の改善も目指します。
MAYSOLのより詳しい情報は、事業紹介をご覧ください。
2017年より開始した委託養鶏事業。現在は8,000羽の鶏の飼育、卵の販売、1,500羽の雛の飼育と販売、そして養鶏飼料の生産販売まで広げ、約10家族の委託養鶏農家、そして10人の従業員と共に日々切磋琢磨しています。より多くの委託養鶏農家さんを雇用し、多くの子どもたちが学校に通い続けることができるよう、これから更に事業を拡大していかなければなりません。
そんな中、、、世界中で猛威をふるう新型コロナウイルス
日本でも新型コロナウイルスの影響による緊急事態宣言が続いていますが、グアテマラも例外ではなく3月末よりロックダウンが続いています。
3月下旬より国境が閉鎖され、外出及び都市間移動禁止、レストラン等生活に必要な最低限のビジネス以外は強制閉鎖など。医療体制が未熟なグアテマラでは、大統領が先頭に立ち、かなり強引にコロナを封じ込めようとしています。
ウィタン地域には、高度な医療を受けられる病院がなく、感染者が出ると対応ができなくなるため、原則ウィタンの人々の移動は禁止。アメリカに出稼ぎに行った家族からの送金もなくなってしまったケースが多く、かといってシェラ等へ働きに行くこともできず... 市場で売っている食料の価格は高騰。政府からの援助は皆無に等しく、ましてやNGOやNPOの活動も完全にストップしています。
ルベリオから「多くのウィタンの人々がより苦しい生活状況に置かれ、援助を必要とする声が届いている。MAYSOLでなんとかできないだろうか。」と相談がありました。
私たちMAYSOLは幸い農業・畜産の事業であるため、営業時間の制限はあるものの、かろうじて事業を継続できています。私たちに可能な範囲で食糧やとうもろこしの配達を行いましたが、私たちだけではわずかな人々にしか支援を届けられません。各養鶏農家さんたちも、自主的に家族や近所の人に援助をしているとも聞きました。そこで、より多くの支援をウィタンの皆に届けることができないかと考え、この度、クラウドファンディングを開始しました。
MAYSOLはあくまでも、NGOや援助団体ではありません。私たちのビジョンはビジネスを通じて、グアテマラの貧困層の子どもたちが教育を受け続けられる社会を創ること。そのために雇用機会を創出することです。そのため、事業の利益はより多くの人を雇用するために、全て新しい鶏舎の建設や鶏の購入費などに投資をしています。しかし、今はそんなことを言っていられる場合ではありません。ソーシャルビジネスでアプローチできない人々がたくさんいるのも現状であり、なんとか皆さんから寄付を募り、一緒にウィタン地域の人々に食糧を届けることができないかと考えました。
私たちと一緒に、ウィタンの支援を必要とする子どもたち・家族に食糧を届けるため、当プロジェクトを応援していただければ幸いです。
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「新型コロナウイルスの影響を受けたグアテマラの貧困層への食糧配布プロジェクト」の詳細はこちら↓
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このnoteでは、この国に関わる様々な日本人による、魅力いっぱいのグアテマラ情報を発信しています。ブログリレーの他のエピソードはこちら↓
次回は、JICA海外協力隊として「食糧配布プロジェクト」の支援地域ウィタンで活動されていた織田さんに、そこでの暮らしや人々の価値観についてお話ししていただきます!
現地のリアルな生活を語っていただきますので、ぜひ明日も「ブログリレー」をチェックしてみてください(^^)
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