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地理・歴史学

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人の価値観は、外的環境に大きく影響されます。地球全体に関して時間軸・空間軸双方から、どのような環境のもとで我々が今ここにいるのか?解明していきたいと思っています。
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#アフリカ

「モロッコの風土」アフリカNo.1の経済

⒈アフリカ ナンバーワンの経済モロッコ経済は、実質アフリカナンバーワンとも思われ、優秀な王様による安定した先制政治体制と治安によって順調に経済発展してきたともいえます。 実際に今回旅行してみると、私のアフリカ経験上(コートジボワール、南アフリカ、ボツワナ、エジプトなど)からしても、南アフリカ(南ア)と同等か、それ以上の近代的国家という印象。 団体ツアーなのでスラム街周辺には行けませんでしたが、カサブランカのスラム街といわれるモウレイ・ラシッド地区のGoogleマップみる

なぜアフリカは中国を歓迎するのか?『アフリカを食い荒らす中国』 読了

<概要> アフリカ大陸における中国進出の実態を実際にアフリカ諸国を取材して紹介したフランス人とスイス人ジャーナリストの共著。ちなみに本書の日本タイトルは本書内容とはだいぶ印象が異なる。本書は善悪の視点がだいぶ排除された、より客観的な内容。 <コメント> 日本語タイトルがひどいので困ったものですが、内容的には至って真っ当な2008年出版のノンフィクションです。 ちなみに中国はひどく「食い荒らしている」わけでは、ありません。「食い荒らす」という視点でいうと、500年前の奴

「アフリカの風土」西アフリカにおける南北問題とは?

西アフリカの悲劇は、文化圏の違う北の内陸部(イスラーム圏)と南の沿岸部(キリスト教圏)を分断するように、欧州列強の植民地化によって国境が恣意的に区切られてしまったことです。 西アフリカの北部=内陸部はニジェール川流域で、16世紀にヨーロッパがサハラ以南に進出するずっと前の、7世紀後半からイスラーム文化が西アフリカ北部(=サハラ砂漠の南端=サヘル地域)に浸透していました。 一方でヨーロッパが進出した西アフリカ南部=沿岸部は、数百年続く奴隷貿易の舞台となりつつ、19世紀に始ま

「アフリカの風土」なぜアフリカはアジアより発展が遅れているのか?「その3」

これまで(サハラ砂漠以南の)アフリカはなぜ、アジアよりも発展が遅れているのか」について、 第一の仮説:建国がアジアよりもおおよそ15年ほど遅かったから 第二の仮説:アフリカには、もともと国家的政治体制の伝統がなかった、あったとしても脆弱だったから ということでしたが、最後の仮説=第三の仮説について、以下書籍を参照しつつ、アフリカはなぜアジアより発展が遅れているのか、考えてみました。 著者の武内進一によれば、南アフリカ・ナミビア&小国家除くサハラ以南のアフリカ諸国(以下ア

「アフリカの風土」なぜアフリカはアジアより発展が遅れているのか?「その2」

「仮説その1」では単純にアジアに比して国の歴史が新しいから、ということでしたが「第二の仮説」として考えられるのは、歴史上、特にサハラ以南のアフリカ大陸には、もともと国家的政治体制の伝統がなかった、あったとしても脆弱だったから、ではないかということ。 このために植民地主義から脱却して独立しても、国家的な統治機構の経験が既存の文明としてほとんど持ち合わせていないために、国家的な統治機能がなかなか発揮できない。 つまり「人的資本の最大化」としての適材適所や優秀なエリートによる近

「アフリカの風土」なぜアフリカはアジアより発展が遅れているのか?「その1」

以下『地図で見るアフリカハンドブック』も参考にしつつ、なぜアフリカはアジアよりも発展が遅れてしまったか、考えてみました。 ⒈最も経済が遅れた大陸「アフリカ」まずは、データでアフリカとアジアの経済発展状況を比較。 グローバルノート - 国際統計・国別統計専門サイトによると、年の一人当たりGDPワースト20は、すべてアフリカ諸国(ワースト21位に中央アジアのタジキスタン)。 ワースト50でも、35カ国はアフリカ諸国が占めていて、地域別では圧倒的にその数が多いのがアフリカ。

「アフリカの風土」意外に物価が高い西アフリカ:コートジボワール

世界の中でも、最も経済力が低い大陸がアフリカなので「物価が安いのでは」と思うのですが、決してそうではないところが興味深い。 今回、西アフリカのコートジボワールに旅行して驚いたのは、その「物価の高さ」。 コートジボワールの貧困度は下から数えたほうがはやい貧困国にもかかわらず、アビジャンという最大都市でも、ヤムスクロという地方都市でも、街中のスーパーに行くと意外にも物価が高いのです。 その他ファーストフードや外食なども利用しましたが総じて日本の物価とあまり変わりません。今の

「アフリカの風土」を俯瞰する

以下二つの著作を参考にアフリカ大陸全体の風土を俯瞰してみました。 やはり一つの大陸を概観するのは、あまりにも無謀ではありますが、アフリカとっかかりの1発目としてまず全体像を把握したうえで、個別のエリアについて別途整理していきたいと思います。 『アフリカ学への招待』は1986年出版なので、未だ南アフリカがアパルトヘイトで全世界から非難を受けていた時代。前回紹介した『超加速経済アフリカ』の現代史的には、アフリカが最も苦しかった「アフリカの死」の時代(1980年ー2003年)の

今アフリカはどうなっているのか?『超加速経済アフリカ』椿進著 読了

<概要> もはや「後進国」ではなく、文字通りの「発展途上国」となったアフリカ諸国の経済が、これまでの西欧や中国などとは異なった特徴ある経済成長を加速させている、とのアフリカ向け投資&コンサルタント会社の経営者の著作。 サッカーの世界では、今月から始まるカタールでのアジアカップがアジアの頂点を決める大会である一方、アフリカでは、コートジボワール(コートダジュールではない)にてアフリカの頂点を決める大会「アフリカネーションズカップ」が開催されます。 縁あって、私もアフリカネー

『自然のしくみがわかる地理学』水野一晴著 読了

<概要>自然地理学全般の知識を世界中・日本中を調査してきた著者が親しみやすいエピソードとともに網羅的に紹介した著作。 <コメント>地理学には大雑把に分けて、自然地理学と人文地理学があります。本書は自然地理学に関する網羅的な初心者向け著作なので「これ一つあれば、おおよその概略がわかる」という便利本。他にも書店でチェックしたところ以下著作もわかりやすそうです。 本書の場合、著者の実体験に基づくエピソードも織り交ぜながら解説してくれるので、とてもわかりやすい。いつものように以下