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地理・歴史学

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人の価値観は、外的環境に大きく影響されます。地球全体に関して時間軸・空間軸双方から、どのような環境のもとで我々が今ここにいるのか?解明していきたいと思っています。
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2021年2月の記事一覧

「さかのぼり日本史」奈良・飛鳥時代 書評

<概要> 日本列島において、外圧によって中央集権的なクニの形が整えられていった飛鳥・奈良時代を簡潔にわかりやすくまとめた良書。 さかのぼりの西暦換算では、 752年の聖武天皇による開眼供養 → 592年 推古天皇即位まで  の期間。 <コメント> 古代も今も、鎌倉時代も、戦国時代も、明治維新も、民主国家の今も、日本は全て外圧で歴史が動く、というのが面白かった。 日本列島は、程よい距離感で大陸や半島と海を隔てているので、なんらかの外圧が加わらないと変化しようとしない、

「ギリシア神話」のたしなみ

ギリシア哲学理解の一環として、ギリシア神話の全体像を掴むべく購入&読了。 著者自身あとがきで「骨と皮ばかり」と述べているごとく、膨大なギリシア神話の世界を新書1冊で収めるのは無理があり、神々と英雄の名前を追っかけ続けて追っかけ続けて、そのまま読み終わってしまう、という印象。1964年出版の新書なので致し方ない。 これではどうしようもないので、途中から神々と英雄の系図を自分で作成しつつ通読する方法に変えてみたら、なんとか大雑把には全体像が理解できたという感じ(下図参照)。

横須賀「走水神社」にてオトタチバナを想う

昨日は、天気が良かったのでサイクリングがてら、横須賀「走水神社」に行ってきました。走水神社は、東京湾岸各地の名称の所以ともなったオトタチバナを祀ってある由緒ある神社。 「思想の地形史」の「湾」では 海に面した鳥居をくぐると、山道がまっすぐに延びている。その右側には社務所や、オトタチバナの姿を刻んだ「舵の碑」がある とのように、社殿の石段を登りつつ振り返ると 東京湾に面していて、 神社の裏山まで登ると美しい東京湾の風景が望めます。内房の工業地帯もくっきり。 記紀神話

移民がもたらした、古代日本の文明開花

引き続き「さかのぼり日本史」からの知見メモ。 「古代の文明開花」と本書が銘打ったこの時代(AD500年〜700年)は、朝鮮半島南部と日本列島が一つの文化圏を形成。この文化圏には、列島の蝦夷(東北・北海道)・埼玉・出雲・熊襲(九州)、半島の百済・任那・加那などの共同体が複数乱立し、その中で最も有力だったのが畿内地方の「ヤマト政権」。 ヤマト政権は、当時の先進カルチャー(仏教など)&テクノロジー導入を目的に、百済からの積極的な移民政策(渡来人)を推進します。百済にとっては、親

「なぜ、列島に日本という国ができたのか」書評

<概要> 大化の改新から遡って縄文時代まで日本列島を主役に、日本列島・朝鮮半島・中国大陸にまたがる東アジア史を俯瞰した著作。 <コメント> 列島においては、どのような「社会の虚構(※)」をベースに歴史が展開されたのか? ※社会の虚構=共同体を形成する根拠となる価値観(宗教、社会契約などの思想) その手始めとして今、オープンカレッジでオンライン受講している仁藤敦史先生(国立歴史博物館教授)の「倭の五王」を受講中。そして仁藤先生の共同著作という本書をまずは手に取りました。

「ことばの地理学」大西拓一郎著 書評

<概要> 方言で使われる言葉を日本地図にプロットしたら、どんな傾向が方言にはあるのか?あるとしたら、その要因は何か?を探った方言学に関する書籍 <コメント> 既に甲府の方言や 方言にまつわる社会制度の関して 紹介しましたが、改めてここで書評。全般的に了解したのは、日本地図への方言のプロットは進んでいるものの、その法則性と要因に関する体系的な仮説は未だ生まれていないということ。 上記で紹介した内容含め、 ■静岡県で使用される「ズラ」は、この地方に伝わる古い東国の方言が