『バスに乗って』 476字
ボンヤリしていると、目の前にバスが停まった。
「乗られますか?」
運転手が聞いてくる。
(あれ?私はここでバスを待っていたのだろうか)
「あ、はい・・・」反射的に応えて乗る。
乗客は4割ほど。仄暗い車内は静かだ。
「お客様に御案内です。
本日は途中、**営業所に給油のため5分ほど停まります。御了承下さい」
暫く走るが誰も降りようとしない。
そうこうするうちに**営業所に停まった。
「**満タンで。今日は**まで行くから」
運転手と所員の会話が聞こえた。
お待たせしましたのアナウンスがあり、再び走り出す。
(そういえば、どこ行きだっけ?)
外を見ると、見た様な無い様な処を走っている。
(そもそも何故バスに乗ったのか。普段は使わないのに?)
更に走っていくと、先ほどまでと打って変わり、車窓に白い影が映る。
(え?空を走っている??)
更に更にいくと、どんどん辺りは暗くなる。
今はどうやら宇宙空間を走っている様だ。
漸く掲示板に『終点・銀河』と読めた。
(ああ、さっきのは「満月ガス」だったか)
(そういえば私は・・・)
なるほど『満月ガスとバス』ね。
バスに乗って『還る』。
案外オツなものだ。
<了>
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
最後までお読み下さり、誠に有難うございました。
たらはかにさんの企画に応募させて頂きます。
この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?