【詩】『それでもまだ』
池を囲む柵の上に
両肘をついて顎を載せて
並んで池を眺めている
夜の公園
くすんだ緑色のケープ付きのコートと笑顔
デートの帰り
腕を組んで歩く雑踏
電車に乗る君を
見送る駅のホーム
楽しかった出来事は鮮明に思い出され
思いも寄らず別れを告げられた日に
頭の中が真っ白のまま
ひとり帰りの切符を買った
それはどこの駅だったか
都合の悪い事は忘れ去られて
残るのは見つめていた
やけに白い券売機のイメージ
それでもまだ
僕の体には君との日々の断片が
埋もれている
それでもまだ
君の体のどこかに
僕はいるのだろうか