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青のファミリアに乗った小悪魔と横須賀のマーロウに行った日のこと

洋子ちゃんは僕の大好きなガールフレンド
女の子で友達で
今んとこそれ以上でもそれ以下でもない
そのまんまでまあまあOK
それ以上になりたいけどそれ以下になるのが怖い

「ようこのようはどの字なの?」に
「太平洋の洋」と
いつも少し恥ずかしそうに答える洋子ちゃん
にやける男どもは
手玉に取られているのに気付かない

洋子ちゃんは茅ヶ崎のお嬢さま
長い長い黒髪をいつも手櫛でいている
年下の彼氏がいるって噂だけど
本当かどうか誰も知らない

洋子ちゃんは同じ部署の同期のコ
「休みの日に悪いけど...…
プログラムの書き方教えてほしいのよ」
二人だけの勉強会のお誘い
横浜元町で待ち合わせなんて
まるっきりデートみたいなもんで
うきうきがとまらない

洋子ちゃんと元町の喫茶店で差し向かい
勉強など出来る筈もなく
いつしかお遊びモードになってるけど
それはもうしょうがない
絶対僕のせいなんかじゃない

洋子ちゃんは青のファミリアでやってくる
空の青みたいな青のハッチバック
とても似合ってる
ちょっと目のやり場に困るミニスカに
黒白ボーダーのニーハイ
童顔だからなおさら年齢不詳

洋子ちゃんは根っからの小悪魔
「えっとねえ葉山のちょっと先に
最近できたいいとこ知ってんだ
横横乗っちゃえばけっこう近いよ」
なんていってる絶対領域が眩しすぎる

「天気もいいし
今の時間からが最高なの
海がきれいよぉ~」

青のファミリアに乗せられて
店のマッチ箱にはフィリップ・マーロウのイラスト
海が見える窓際があいていた
初夏の海はホントに何もかもがきらめいている

もしもある日
疲れ待てて未来が見えなくなったら
今日のこの日を思い出して
このまんまの光景を思い浮かべて
日記に書いたりするかもしれない

洋子ちゃんは僕の大好きなガールフレンド
心配しなくていいよ
今日も見事に撃沈いたしましたから

 
ツンデレ小悪魔に
好き放題に翻弄された
幸せなある日のお話
 
 

◇ ◆ ◇


ずっと書きたかった洋子ちゃんのこと。やっと書けました。
そして、つくづく思いました。 
やっぱり『ツンデレに振り回される人生』だったのね。
 
 

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