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2020年6月の記事一覧

一緒にいた2年間、君は何もくれなかった。誕生日もクリスマスも「子供のためのイベントでしょ」と笑った。だけどわたしは君を嫌いになる理由を未だに見つけられない。最初から最後まで大人の女に「未来への希望」を夢見させることもしなかった思い出のほとんどない君だからこそ今でも思い出してしまう

「もうすぐ朝だよ」彼に声をかけると眠そうな目を擦り帰り支度を始めた。彼には帰る場所があって、そこはわたしの隣じゃなくて、わたしは彼と朝焼けを見ることはない。彼の背中が薄ら青い色に消えるのを見送ったあと、空を見上げるとそこには太陽があった。まるで嫉妬に燃えるわたしのような太陽が。

「じゃあね」と帰る彼は何回も振り返った。窓から眺めるわたしに手を振りまた歩いて振り返って手を振る。わたしはそれが嬉しくて見えなくなるまで手を振り続けた。あの夜もいつものように彼を目で追った「ねぇいつもみたいに振り返って。別れ話は嘘だって手を振ってよ」彼は最後まで振り返らなかった

わたしはニキビ顔で「ブス」とか「かわいくない」と言われたり友達と比較されたりすることもあって「もっと鼻が高かったら」なんて思ったこともあったけど不思議と自分の事を嫌いにならなかったのは嫌いなものを入れるスペースなんてないくらい服とか音楽とか漫画とか好きなものがたくさん溢れてたから

デートで会うと「うーんなんとなく今日は気分じゃない」そんな紫陽花のような移り気の君に合わせて「わたしもそう思ってた。違うとこに行こ」そんな彼は言った「君って勝手だよね」そうか…わたしは勝手な人間なんだ。じゃあもう「君が嫌がるかもしれない」なんて考えなくてもいいねとそっと削除削除

昔から「ピンクが似合わない」と言われていた。「女らしさ」ではなく「女の子らしさ」その代名詞がピンクという考えは変わらない。このジェンダーフリーが叫ばれる中で色で性を表現するのも色で性に憧れるのも自由。わたしはピンクが似合わないけれどピンクに塗られた爪を見るたび「かわいい」と思う