週刊小売業界ニュース|2024/1/22週
2024/1/22週(1/20-1/26)にピックアップした小売業界ニュースをお届けします。今週のおさらいにぜひどうぞ!
出店で売上5倍に!中川政七商店、工芸メーカー向けECモールの仕組みとは | DCSオンライン
工芸品を中心に、SPA業態(商品開発・製造・流通・小売を自社で管理・運営すること)で事業を展開している、株式会社中川政七商店。
現会長の中川淳(13代 中川政七)さんは、日本の工芸産業が斜陽している原因のひとつに、供給者である工芸メーカーが、会社としてきちんと経営がなされていないことを指摘しています。
動画のなかで、工芸メーカーが取り組むべき経営の要素として、具体的に以下の2点を言及されています。
経営ビジョンに基づく、工芸品のブランドマネジメント
収益体制の構築(まずは黒字化!)
上記の記事で特集されているECモールを活用することで、工芸メーカーは2つの経営課題に対処するサポートを得ることができそうです。
まずブランドマネジメントについて、工芸メーカー自身はサプライヤー視点でのビジョンを描くことはできるかもしれませんが、買い手目線に立って、ポジショニングや長期戦略を立てることは難しいでしょう。
自社の伝統工芸は、どこに他と違った良さがあるのか、それをどのように顧客に浸透させてゆくのかといった点に対して、目利きのプロである中川政七商店の視野をダウンロードすることができます。
収益体制については、利益率の改善と顧客分析という2つの面からメリットが得られそうです。
まず中川政七商店のECモールが新たな販路の柱となり、供給量(=製造業)が増加することで、多少なりとも規模の経済が働き、利益率の改善が見込めるでしょう。
そして、これまでは専ら商社や小売業者に委託していた販売面に関しても、このECモールを活用することで、顧客と直接にコミュニケーションできる機会や、顧客データの取得が可能となれば、収益のある価格帯で売れる顧客セグメントの探索や販促を、より効果的に実行できるようになります。
韓国│大型マート、義務休業を週末から平日に変えるだけでいい? 「年に24日休まなければならない事実はそのまま」
韓国では、大型スーパーマーケットの顧客誘引力から、地元の小売店を保護することを目的に、2012年に流通産業発展法を改正。
以来、大型スーパーは月に2回、消費量の多い日曜日・祝日に義務休業しなければなりませんでした。
しかし近年の調査によると、日曜日・祝日に義務休業を行わなかったとしても、地元小売店の商売が妨げられるわけではない、ということがわかってきました。
韓国で人口第4位の大邱広域市では、務休業日を第2・4週の、日曜日から月曜日に転換したところ、大型モール・スーパーの売上のみならず、地域小売業の売上も上昇が確認されたとのこと。
あるソウル市議会議員は、
と分析しています。
政府が、大型スーパーvs.地元小売店という構図から、オフラインvs.オンラインという構図への変化を認知し、義務休業日の改正を推進している形です。
しかし規制緩和を受けたといえる小売業者たちですが、365日営業が可能なEコマースに比べて、年24日を無条件に休まなければならないのは不公正だとし、政府にさらなる踏み込みを希望する声は、依然として多い状況です。
BYD、ランボルギーニを意識したデザインのEVを富裕層向け市場に投入で、テスラに挑む - WSJ
世界のEVの約3分の2は、中国メーカーにより製造されています。
中国最大手BYD(比亜迪)は、2022年に米テスラの生産台数を上回り、また2023年には300万台を突破、世界の自動車販売台数トップ10にランクインしました。
海外市場への進出も顕著です。
例えばEU市場において、中国からの輸入車に対して10%の関税をかけているにも関わらず、中国製EVシェアは1%から8%にまで上昇しています。
中国企業の進出に、欧米各国は産業保護の動きに出ています。
バイデン政権は2023年12月、中国やロシアなどの資本が25%以上を占める企業等が生産した蓄電池が使われたEV車は、2024年より税額控除の対象外とする指針を示しました。(出所:NHK News Web)
またEUでは、フォンデアライエン欧州委員長による2023年9月の方針演説にて、中国政府の補助金により中国製EVがEU製より20%ほど安く販売されており、EUが競争で不利に立たされていると主張。関税を引き上げるかどうかの調査を開始したと発表しました。(出所:ロイター通信)
世界規模での脱炭素に向けた取り組みにおいて、EVシフトを加速させるために、低価格化は本来ならば歓迎されるはずです。
アメリカ・EUが自国の産業保護を優先する動きを見せていることに、それぞれの現地でも批判の声があげられています。
しかし日本は、このEV合戦を、中国 vs. 欧米各国として傍観を決め込むことはできないでしょう。
前述のバイデン政権が発表した税制優遇の適用除外には、実は日産リーフも含まれています。
経済連携の枠組みにあっても、いつ輸出先各国の購入支援の撤廃や、関税上乗せの対象とされるのか、注視する必要があります。
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