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週刊小売業界ニュース|2023/8/7週
2023/8/7週(8/5-8/11)にピックアップした小売業界ニュースをお届けします。今週のおさらいにぜひどうぞ!
EC時代にスクロールとベルーナだけ好調 生き残るカタログ通販、死ぬカタログ通販 | DCSオンライン
カタログ通販の業界は、デジタルシフトにより急速に変化しています。スクロールは業界トップの収益力を誇りますが、今後も生き残るためには、Acquisition(顧客の獲得)に注力する必要があります。 DoCLASSEは、リアル店舗を出店することで認知度を高め継続購入に繋げており、Acquisitionの成功事例と言えます。
記事では、EC全盛の今、カタログ市場で起きている熾烈な競争の実情と、スクロール社やベルーナ社など上位3社がなぜ成果が出ているかが解説されています。
その上で、2つの指標の見方について落とし穴があると述べられています。
一つは「RFM分析」です。Recency(最近購買期間), Frequency(購買回数), Monetary(購買金額)で優良顧客を見つけるマーケティングにおける基本的な分析ですが、この指標は今いる顧客を選別していく指標であり、効率性の上昇は見込めるが、売上としては減少していくことになります。
筆者は「Acquisition」(顧客獲得)の観点を忘れずに対策し続けることが重要だと述べられています。
もう一つは「ページ効率」です。カタログ通販企業では、“1ページがどのぐらいの売上を生み出したか”というこの指標をとても大事にしています。しかし、この指標にこだわりすぎて、1ページに商品を詰め込みすぎても顧客が買いたいと思うかわかりません。そのため、一部企業では「ページ効率」を度外視し、1ページに大きく同じ商品を掲載し顧客の関心を集めるなどの施策を行なっているようです。
EC全盛の今、昔のように「カタログを送り続ければ売れる」とは言えない中、企業はさまざまな施策を生み出し、競争を生き残ろうとしているようです。
韓国ファッションEC、クィニッ(퀸잇)がすごい
韓国のファッションEC「クィニッ(퀸잇)」は、40〜50代女性に特化したアプリで圧倒的NO.1。シンプルで直感的なUI/UX、素材と品質にこだわったブランド、好みの商品が見つかる独自のAIアルゴリズムを強みに、2023年には売上高43億円〜54億円、営業利益・純利益ともに黒字転換を見込んでいます。
記事では、創業者2人がどのような経緯でこのサービスを立ち上げられたという点から、検証を進めていく中で至った「強み」をどこに作ったのかについて述べられています。
創業者2名は、様々なサービスを立ち上げては畳んでを繰り返し、このサービスに至りました。
その際、「20代〜30代の女性向けのアプリはたくさんあるのに、なんで一番人口の多い40代〜50代の女性向けサービスはないんだろう?」という問いが、このサービスの立ち上げに至った理由だそうです。
「年齢の高い層はスマホで購買するのを苦手としている」という固定観念を捨て、
◆「シンプルで直感的なUI/UX」
→ わかりやすくすぐに購買できるか
例)電話番号のみでの会員登録
例)サイズを入力後、そのサイズであるものしか表示されない仕様
◆「取り扱いブランドの素材と品質」
→洗濯の可否など実用性がすぐわかるか
◆「好みの商品が見つかる」
→自分の好きなスタイルのみが表示されるか
等を見つけ、対象のユーザーが最も使いやすい形を目指しているようです。
“中高年層はスマホを使わない”という時代はもう昔となっているように、自分の中にある固定観念を時に取り払って考えないと上記のようなインサイトに至れないなと感じました。
Allbirds はどのようにして足場を失ったのか - ジャーナル - WSJ ポッドキャスト
Allbirds は 2016 年に設立されたサンフランシスコ発のシューズブランドです。ウールとリサイクル素材を使用した環境に配慮したシューズを製造しています。2019 年に売上高が 5 億ドルに達しましたが、2020 年は新型コロナウイルスのパンデミックや競合他社との競争激化により、売上高が 20% 減少しました。2021 年は新製品の開発や海外市場への進出などで売上高の回復を目指しています。
原宿などで展開をしているAllbirds(オールバーズ)をご存知でしょうか?
化石燃料系素材を使わず、自然素材を利用して履き心地の良いスニーカーを作っているサンフランシスコ発のブランドです。
化石燃料と違い、羊の毛は刈ったら新しいものが生えてくる、という点に創業者が気付き、社会的持続可能性の高いプロダクトを生み出すとして事業を立ち上げました。
最初のプロダクトのデザインは、ロゴなどが書いていない非常にシンプルなデザインであり、そのデザイン性も相まって一気に人気となりました。
記事では、そんなAllbirds(オールバーズ)の直近の様々な失敗が取り上げられている中、ランニングシューズ進出の失敗についても取り上げられています。
Allbirdsは、ナイキ等のビッグブランドに対抗するべく、ランニングシューズを販売しましたが、全く売れることはありませんでした。その理由を調べていくと、顧客はランニングシューズに対して「持続可能性」を全く求めていませんでした。ランニングをすることが先行しているため、履き心地やクッション性などを求めていました。
Allbirdsが間違えていた認識としては、自分たちのプロダクトが「社会的持続可能性がある」ことにより顧客が購買していると認識していることです。
元を辿ればデザイン性など他の要素がユニークで売れていたプロダクトであり、顧客は自分の生活の質向上を優先するもので持続可能性に興味はないようです。
過去私もAllbirdsのサンフランシスコ店に出始めの頃に行ったことがあります。「かっこよくて軽くていいな」と思う反面、「扁平足の自分にとって履きやすく足を守ってくれるのか」を気にし、「持続可能性のために買うという興味は無かった」ので店を後にしました。
今後Allbirdsがどのようなインサイトを手にいれ、ビジネスを展開させていくかが気になります。