本日の読書 #067 「落雷と森林火災」
参考書籍:『森林に何が起きているのか』吉川賢
序章 多発する森林火災──失われ続ける森林 より
落雷と森林火災。
昨日6月22日は「世界熱帯雨林の日」だそうだ。
私は『森林に何が起きているのか』を思い出した。
特に「森林火災」の記述についてだ。
皆さんは「森林火災の原因」と聞いて、何を思い浮かべるだろうか?
放火?
野焼き?
焚き火の不始末?
実は日本の森林火災はほぼ全て、これらの「人為的な火災」であるらしい。
日本人は、火の扱いが下手っぴなのだ。
では世界的に見るとどうか。
それ以外の原因、つまり「自然的な火災」も多いようだ。
その一つが「落雷」だという。
落雷によって生まれた種火は、ときに森林を焼き尽くす。
ちなみに森林が焼却されることで大気中に放出される二酸化炭素は、凄まじい量だ。
本書によれば、2015年にインドネシアで起こった熱帯林の大規模火災で排出された二酸化炭素量は、日本人の年間総排出量の1.5倍だそうだ。
森林火災「一発」で、である。
なんだかやるせない。
さて、こうやって聞くと私たちは当然、
「落雷で火災が起きたら、燃え広がる前にすぐに消せばいいね」
と考えたくなる。
しかしそれは良くないことなのだと。
人為的なものならまだしも、自然現象によって起こる森林火災を防ごうとすることは、自然の新陳代謝を妨げる要因になるのだ。
太古の昔から森林は、落雷によって破壊され、生命力をもって復帰し、そのつど生態系を変化させ更新してきた。
恐竜の時代も、類人猿の時代も、現代も。
それを今になって「二酸化炭素が増えると困るから」と人間が介入してしまうことで、自然の生命力が失われてしまう危険性があるらしい。
言われてみれば、確かにそうかも。
人間に「適度なストレス」が無いと堕落してしまうのと同様に、広大な自然にとって森林火災は「必要なもの」なのだ。
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