本日の読書 #043 「名付けと音象徴」
参考書籍:『言語の本質』今井むつみ
第二章 アイコン性──形式と意味の類似性 より
音象徴。
「音のアイコン性」のことだ。
もっと簡単に言えば、
「ある音から、何かをイメージできる」こと。
例えば、われわれ日本人は、
「小石がゴロンゴロンと転がっていった。」
という文章に対し、違和感を覚えるだろう。
「小石がゴロンゴロンは無いでしょ。コロコロなら分かるけど」
つまりこれは「ゴロンゴロン」という音から「なんか大きなモノが転がっていく様子」が想起できる、ということで、これこそが音象徴だ。
この概念を本書で初めて知って、大変興味深く読み進めていたのだが、ふと、あることが頭を過ぎった。
それは「音象徴と名付けに、関連があるのではないか」ということだ。
私は小児科の隣の薬局で働いている。
ゆえに毎日、膨大な数の「子どもの名前」を呼ぶこととなる。
そこに興味深い傾向があった。
それは男の子の名前には「◯◯トくん」が極めて多いということだ。
たとえば、ハルトくん、アヤトくん、イクトくん、ユイトくん。
最初はあまり気にしていなかったが、友人と名付けの話になったとき、
「もし男の子が産まれたらどんな名前にする?」と聞いてみた。
やはりこれは、何かある。
そう確信した。
つまり止め字の「ト」には、好意的な感覚を抱く人が多いのだ。
私から見てもやっぱりカッコいいと感じる。
ハルトくんも、アヤトくんも、イクトくんも、ユイトくんも、めっちゃカッコいい。
この音象徴は、世代に変わるとある程度、変化していくものだと予想される。
言語は、奥が深く面白い。
名付けの歴史なんかも、機会があれば学んでみたいものだ。
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