本日の読書 #076 「セーヌ川浄化プロジェクト」
参考書籍:『ナショナルジオグラフィック』2024年8月号
輝きを再び取り戻すセーヌの流れ より
セーヌ川浄化プロジェクト。
いま実施されているパリ・オリンピックでは、セーヌ川が大きく注目されている。開会式はセーヌ川で執り行われ、スタジアム外での開会式は夏季オリンピック史上、初だそうだ。
セーヌ川はそういった象徴的な存在に留まらず、もっと直接的な存在感を示した。競技として川を「遊泳」することにまでなったのだ。
この「セーヌ川で行われるトライアスロン」は本大会の目玉の一つであり、そのために求められたのが「セーヌ川の水質改善」である。
今月号の「ナショナルジオグラフィック」にて、フランス政府が行った「セーヌ川浄化プロジェクト」の全容と、この川が担ってきた歴史的役割についての特集を読むことができた。
セーヌ川はフランスにだけ流れる川で、パリを含むあらゆる場所を蛇行し、イギリスとの海峡に向かう。
その支流を合わせると、フランス国民の3割が、セーヌ川の流域に住んでいるらしい。
元々は綺麗だったこの川も、下水道代わりに使われたことで徐々に濁ってしまい、100年以上前から遊泳禁止となっていた。
それが今回のオリンピックで、2380億円という莫大な資金を投じて、浄化計画が実行されたのだ。
結局、オリンピックに間に合ったのかというと微妙なところで、SNSやニュースでは酷く叩かれているが、本誌によれば、セーヌ川には魚や鳥が「戻ってきて」いるらしい。
川の見た目はまだ綺麗とは言いがたいが、少なくとも動物たちには分かるレベルの変化は、確実に起こっている。
オリンピックという「絶対的な期日」があることで、否が応でもスピーディーな対応を求められたことが功を奏したのだろう。
今回の取り組みはフランスにとって、インフラ面の大きな改善に繋がる。
結果的に、オリンピックよりもっと先を見据えた、良い効果をもたらしそうだ。
「オリンピックの使い方」としては正しかったのではないかな、と思う。