本日の読書 #029 「木製製品と炭素隔離」
参考書籍:『森林に何が起きているのか』吉川賢
第五章 これからの森林管理──林業が拓く森林の可能性 より
木製製品と炭素隔離。
我が家は木製の製品を好んで使う。
それはただ単に「好きだから」でしかなかったが、本書を読んで、もっと好きになることができたので紹介したい。
「プラスチック製品より、木製製品の方が環境にやさしい」
あなたはこう聞いて、どのような理由を想像するだろうか。
「木製のモノは、やがて自然に還るから」
私にはそれしか考えつかなかった。
しかし、木のスプーンには、木のテーブルには、木の家には、「自然に還ること」のほかに、素晴らしい環境効果があった。
木製が環境にやさしいもう一つの理由とは、「炭素の隔離」だ。
「樹木が二酸化炭素を吸収する」というのは小学校で習う事実だが、
では、吸収した二酸化炭素はどこに行くのだろうか?
正解は「樹木の中」だ。
樹木は吸収した二酸化炭素(CO2)を、炭素(C)の形でその内部に保つ。
二酸化炭素をあまり吸収できなくなった古木を伐採し、新たに樹木の苗を植えるとする。
その場所にはまた、フレッシュな二酸化炭素吸収力が生まれる。この取り組みを、林業と呼ぶ。
さて、ここで伐採した古木の幹を使って、テーブルを作ったとしよう。
すると炭素はどうなったか。
これはテーブルの中に入ったままだ。
つまりこれが「炭素の(大気中からの)隔離」である。
私たちが木でできたものを使い続ける限り、あるいは木でできた家に住み続ける限り、そこに炭素を「封印」しておくことができるのだ。
めちゃくちゃスゴいことだと思う。
ちなみに、その木製製品をもし燃やしたとしても、もともと樹木が吸い取った二酸化炭素が出ていくだけなので、「プラマイゼロ」らしい。
これは #027 マイクロプラスチック で取り扱った内容とも関わる。
つまりプラスチック製品を木製製品に置き換えることは、ダブルで環境にやさしいのだ。
プラスチックのトレイと木製のトレイで迷ったときに後者を選べば、ごみ問題にも気候変動問題にも貢献できる。
今後も、誇りを持って木製製品を選んでいこうと思った。