【猪口由美の明日につなぐ食 vol.5】 五島うどん 〜手間を惜しまないものづくりが生む「美味しさ」
五島うどんは、稲庭うどん、讃岐うどんとともに日本三大うどんの一つともいわれています。讃岐と比べると細め。
つるつるした食感とたおやかなコシ、地元特産の椿油を使用して延ばしていくのが特徴で、この地の食文化にはなくてはならない手延べ麺です。五島うどんの歴史は古く、遣唐使の時代に寄港地であった五島列島に中国から伝わったという学説もあるほど。
20社以上ある五島うどんの生産者の多くは上五島地区に集中していて、それぞれが材料や製法にこだわりながら伝統を今に受け継ぎ、手延べ麺を作り続けています。
上五島地区に製麺所を構えるマルマス製麺所は、五島うどんの生産者のなかでは歴史が新しく、それゆえ伝統を重んじつつも柔軟な発想で商品づくりをしています。
取材で訪れたときは職人さんが麺を延ばしている最中で、製麺所特有の小麦粉を含んだ乾いた香りが工房いっぱいに広がっていました。乾燥中の麺は上下にまっすぐ延びていて、ついつい触りたくなるほどきれいです。
マルマス製麺の商品のなかでも、「七椿」と名付けた商品は、ここの看板商品です。
七椿は、材料にも製法にも一切妥協なし。海外産の小麦粉で作る麺も多いなか、九州産の数種類の小麦粉を七椿用にブレンド。
手延べ麺の出来を左右する塩は五島列島近海の高級な海塩を選び、職人が捏ねた麺生地を椿油で延ばしたあと、時間をかけて干して完成。後発で製麺所を始めたからこそ、ひたすら「美味しい」を追い求めてたどり着いたのが、「七椿」なんです。
「七椿」シリーズには乾麺とインスタント麺があってどちらも美味。かわいらしい袋に入った乾麺は、茹でると五島うどん特有のなめらかな食感が楽しめ、噛むほどに小麦の甘みが広がります。麺好きに「おすすめの麺は?」と聞かれたときには、ここを推すようにしています。
一方、インスタント麺は冷凍品。
茹でた麵とスープが透明の袋に入っていて、それをレンジで温めるだけで、手間なく美味しいにゅう麺ができちゃう優れものです。「五島うどんの美味しさを多くの方に知ってもらいたい」という思いで生まれた商品には、生産者の舛田剛一さんやスタッフの皆さんの思いがギュッと詰まっているんです。ちなみにこの会社にはパワフルな女性がたくさんいるのですが、皆さん九州女らしい歯切れのよい方ばかりでホントに楽しい時間でした。
ところで「七椿」という商品名は、製麺所のある七目郷という住所と、季節になるとこの地に咲き誇る椿を合わせたものなんだそう。スタッフの皆さんの商品に対する思いや手間を惜しまない作業工程を取材していると、いかにこの商品を大切にしているかが伝わってきました。五島うどんの美味しさを丸ごと詰め込んだ乾麺とインスタント麺。これからの季節に食べていただきたい逸品です。
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