漫画『家庭教師ヒットマンREBORN!』10巻
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『家庭教師ヒットマンREBORN!』10巻
著 : 天野明
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【10年後編】
今巻でのお気に入りの対決は
”沢田綱吉VS.スパナ”でした。
よくある対機械、対絶対的な力を持つ巨大生物系のバトルは好きではないのですが、
今回の量産型”モスカ”(兵器)を操る技術者”スパナ”との対決は面白かったです。
スパナの、敵である前に純粋な機械への好奇心を持つ技術者である、という中立的で屈託のない姿勢が戦闘に於いて新鮮で面白かったです。
強さに関してもインフレせず、対機械だからと言って安易に勝てず、負けを覚悟する程の勝敗の不確定さにワクワクしました。
作品中、繰り返し”モスカ”が登場する事で力の指標になっている点も少年漫画的なワクワクがあります。
バージョンアップやデザインがブラッシュアップされているのも面白いですし、機械だからと言って安易な立場として登場せず、『ONE PIECE』の”バーソロミュー・クマ”的立ち位置なのもまた一興だなと思います。
今巻で一番好きな場面は緊迫した状況下で
無難な選択を取ろうとした”ツナ”に
”ラル・ミルチ”が現実への覚悟を問う、
「おまえに委ねられているのは
生きるか死ぬかの選択ではなく…
どちらの地獄を選ぶかだ
甘い考えを捨てろ」
という台詞でした。
現実につい、平等や正解・良い方法が
ある気がしてしまう。実際にはそんな物はない。
それを見ろ、と伝えてくれる名場面でした。
『鬼滅の刃』の主題も重なって想起される場面でした。
コマ撮り的な手法を用いての演出や、見開きでの技以外での印象的な使用(日本支部内の招集の場面)、スクアーロ再登場時でのブチ抜きの一番大きい吹き出し「ゔお”ぉおい!!!」の使用など漫画としての創意工夫がより面白さに繋がっていて、愉しかったです。
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