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作品に恵まれた6月。

ああ~今月はもう名作に出会いすぎて胸がいっぱい。

アニメを見てハマった『亜人(デミ)ちゃんは語りたい』の10巻を、つい先日ようやく読み終えた。いよいよ次が最終巻らしい。
つくづく思う、ああやっぱりこの作品大好きだ。。と。
コミカルで楽しい雰囲気だけど、ひとつひとつの内容は深くていろいろと考えさせられることも多い。
だから頻繁に読み返したくもなる。

2年程前にもこの漫画については書いたけど、あのときの熱量がまた戻ってきた。

特殊な性質を持った亜人として学校生活を送る女の子たちと、それを見守る生物教師との交流を描く青春コメディ。
多様性を語るのに何となく疲れてきた大人たちにぜひおすすめしたい。

重要なキーパーソンなのが、亜人ちゃん含む生徒たちを見守る生物教師、高橋鉄男。

この人物は天然たらしと呼ばれるだけあってすごく魅力的な先生だ。みんなが好きになる。
彼の言葉にはハッとさせられることが多くて、私自身学んだことは数知れず。
発する言葉にはいつも軽快さと親しみやすさがあるものの、何事も論理的に話を進めるから、決してその場の感情だけで相手と向き合っているのではないことが分かる。

変わり者でありながらもみんなが信頼を寄せる高橋鉄男。なぜ彼はこれほどまでに愛されるのか。
論理的なのに、何だかひけらかすような嫌な感じがしないのはなぜなのか。。と考えてしまう。

ひとつひとつの事柄を論理的に紐解いていく作業は、人によっては冷たい印象を与える。
言語化できない感情の高まりや、何となくドキドキワクワクするようなロマンについては、明らかにすることが野暮に感じたりするもんだ。
けれどこの漫画では、それは他者同士をつなげる行為として重要な役割を果たしている。

高橋先生は、相手にとって一時的な慰めのような言葉をかけることはない。いつだって、彼の中の理屈を通った言葉が出てくる。ひとつひとつの理由を毎度ちゃんと述べる。
自信なさげな相手に、ただ闇雲に「心配ない」とか「大丈夫」だとかじゃなく「それは”まっとう”な理由だ」という言葉で背中を押してくれる。

※以下ちょいネタバレあります。

亜人である女の子が
「どうして亜人が好きなの?」と高橋先生に問うたとき、「自分と違うからかな」と彼は答える。
これは捉えようによってはドキリとする言葉。

ただ言語化にそれほどの意味はないよ、同じ理由でも好きな理由にも嫌いな理由にもなるからね、的なことをその女の子と話しているシーンを読んでほほーうと思った。
興味半分で聞いたものの、先生からの返答はなんとなく察しがついていた女の子がすごく嬉しそうにしている場面だった。

好きな理由を述べるときでさえ、感情に左右されず冷静にその意味を分析することが出来るのが、この先生への絶大なる信頼に繋がっているような気がする。
言語化と非言語化のバランスが抜群なのだ。

会話は大事だ。でも言語化出来ないことを何となくでも分かり合えて尊重し合えるのって、なんて素敵だろう。
でもこれは、問題を分析し対話を通して関係を築いてきた彼らだからこそ成り立っているとも言える。

個人的に好きだったエピソードは、デュラハンの女の子が一時的に普通の人間体験をするお話だった。
普通の人間体験とは、頭と胴体がつながった状態で生活をするということ。

デュラハンは頭と胴体が分離しており、普段は自身の頭部を両手で抱えたり、机に置いたりして生活しているので胴体の上に頭がくるということが彼女にとっては非日常なのだ。

体験してみた結果、テレビを見ながらトイレに行けないし、箸も高く持ち上げないといけないからめんどくさい。デュラハンの方が楽でいいな~。というオチ。こういうカラリとした明るさが、デュラハンである町京子(まちきょうこ)の魅力だ。

「”らしさ”は生まれ持った性質でなく、性質を踏まえてどう生きるかだ」と先生が言っていた言葉は、彼女たちを見ているとより深くうなずけるところ。

「亜人(あじん)」じゃなくて「デミって言うんだよ☆」と、バンパイアのひかりが呼称を高橋先生に指摘する場面からはじまるこの物語。
デミヒューマンからきた「デミ」という言葉の方がかわいいでしょ☆という理由は先生にとって至極まっとうな理由に映っただろう。

最初に感じた、心がふっと軽くなるような心地よさが、今もなお変わることなく描かれているのがいい。

✳︎

というわけでデミちゃんたちと高橋先生の物語は今年ようやく完結するとのことで胸いっぱい寂しさいっぱいなのでした。
でも面白かった〜

そういえば『おいしい給食』の劇場版もつい先日観てきてこちらも最高だった。私の中の映画史上ベスト5に入るね!これは!

来月はゆるキャン△も公開されるし、まだまだたくさん楽しみが残っているので嬉しい。

今日は宇佐見りん著の新作も届いたので、夜のお供にする。これも傑作の予感。


梅雨のジメジメを忘れるくらい、素敵な作品に恵まれた6月なのでした。

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Green beans
ここまで読んでいただいたこと、とても嬉しく思います。