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ネットにしか友達がいないチー牛の末路 #白饅頭日誌

 チー牛とは何か、この記事を読んでいる方にとっては説明不要だと思う。もしご存知なければ、当記事で説明するよりも、レジスタンスの動画を見てもらった方が早いし面白いだろう。

 中学高校時代を思い出してほしい。クラスには二種類の人種がいたと思う。一つはスポーツに長けノリが軽く、明るくて友達の多い人たち。もう一つは文化部あるいは帰宅部でノリが悪く、アニメなどの話の方を好む人たち。この二者は、ネット上で「陽キャ」と「陰キャ」と呼ばれる。
 その陰キャでも殊更に話しかけづらく、陰キャとつるんでいる様子すら見られず、休み時間は本を読んでいるか突っ伏して寝たふりをしていたこういう子、いたのではないだろうか?そう、こういう子がチー牛と呼ばれている。

こういう子

 また、「弱者男性」や「インセル」と呼ばれることもある。
 代表的な人物としては青葉真二、トーマス=マシュー=クルックスなどがいるだろうか。
 創作上では五条若菜中学時代の富樫勇太一期の小鳥遊六花などが挙げられる。

 陰キャの最ものっぴきならない一派としか考えられていないチー牛だが、実はその陰キャにも二種類あるという研究が分類学の議論の俎上に上がってきた。良性のチー牛悪性のチー牛である。良性のチー牛は不遇な身の上であり、自身の努力と周囲の理解・助力があれば十分人生を楽しめる余地があるタイプである。悪性のチー牛にはステージが0~Ⅳ期あり、進行するほどに引き返せなくなる恐るべき病理である。ステージⅣに進んだが最後、友達や恋人を作って自分の人生を楽しむことは絶望的になるばかりか、男性性を強調するためtoxic masculinityの他害欲求に脳を支配され、ネットでしか暴れられないゾンビと化してしまう。
 本記事では、そのようなチー牛を治癒するためにはどうしたらよいか、チー牛の罹患を防止する方法はあるか、周囲はチー牛に何をすればいいのか、明らかにしていきたい。


チー牛は誰の落ち度?

 チー牛であることは本人がその責任を咎められがちであるが、本人ではどうしようもない理由でチー牛となった場合も存在する。チー牛になる要因によって落ち度の有無が変わるので、要因別に見ていこう。

発達障害がある

 これは本人の落ち度ではない。先天的な発達障害によって、他人の感情が読みにくかったり、マルチタスクが不得意になることがある。要は友達とコミュニケートするという時点まで手が回らないのだ。

いじめの対象になった

 これも本人の落ち度ではない。偏差値が低いなどの理由で治安の悪い高校で起こりがちな事例である。チー牛に良性と悪性があるように、陽キャにも良し悪しがある。そのような高校ではウェイ系の陽キャが幅を利かせやすく、その標的となった陰キャはクラス内の名誉が保てなくなりがちだ。

他人と話すのが嫌い

 これは本人の落ち度である。話題が合わなければ会話が深めようとしないし、会話を続けようとすると迷惑がるクラスメイトがいたと思う。ちょっとイジられただけでコンテキストが分からずガチギレしてきたり、とにかく趣味とアイデンティティが直結しているような学生だ。こういうタイプの人間は悪性のチー牛に罹患する危険性が著しく高い。

良性のチー牛

 良性のチー牛を悪性のチー牛と見分ける最も大きな点は、自分がチー牛を脱したいと考えている点だ。友達を作って人脈を広げたり、恋人を作ったりしたいが、どうすれば友達や恋人が出来るのかわからないのだ。
 良性のチー牛を脱したい人は、以下の行動をとるのが有効だ。

  • 美容室に行く

  • みんなが観ているテレビ番組を退屈でも観る

  • 話したことがない人にも話しかける

  • 「友達になって下さい」と頭を下げる

  • 話の合うコミュニティ(ボドゲサークルなど)に参加する

  • 社会人は社会人サークルに参加する

  • 友達や先輩に「一緒に服を買いに行こう」と持ちかける

 このような行動をとっているチー牛を見た場合には、同情をもって協力してあげて欲しい。
 そしてこの良性のチー牛本人も理解しておくべきなのは、完全に垢抜けなくても、垢抜けようとしていることがわかっただけで評価してくれる人は沢山いる、ということなのだ。身だしなみが整っていない人が異性から敬遠される理由は、「どう見られるかも自省できない人間は、恋人のために自省して譲歩するようなこともしないだろう」と直感的に思われるからだ。
 身だしなみのセンスは悪いかもしれないが、少なくとも君によく思われたい。こういう態度が伝われば、評価してくれる異性も沢山いる。

 良性のチー牛は周囲が味方してくれれば脱チーするのは簡単だし、少なくとも友達に事欠かない陰キャには落ち着くのも難しくない。大学デビューをしようとすればダサ茶髪系になるだろうし、そういう奴は陽キャに好かれたりするので、安心してほしい。
 実は良い陽キャは君の敵ではないのだ。良い陽キャは大学デビューを志す者を「痛いw」と嘲笑ったりしない。

悪性のチー牛

 そういう悪意のない人間を「痛いw」と陰で嘲笑い、ネットに陰口を書き込むのが悪性のチー牛である。
 こういう悪性のチー牛は、共通項の少ない人間と話していると、苛立ってくるのである。それゆえに、友達を厳選するせいで人脈が薄い。
 
例えばクラスでラノベを読んでいて、ふとクラスメイトに「お前こんなの読んでんのかよw。この女の子がお前の恋人なの?w」と声をかけられたとしよう。普通の陰キャであれば、「ハハ、僕はねぇ、この子と水族館デートしたいんだよね」とでも返して、一笑いとるだろう。
 悪性のチー牛は、その声に青筋を浮かべて反応するような奴だ。
 悪性のチー牛の何が悪いと言えば、恋人としての魅力が薄いばかりでなく、男友達としての魅力も少ないところだ。こいつと遊ぶくらいなら他のフッ軽の陽キャでも呼ぶだろう。
 あなたのクラスにもいたのではないだろうか。頑なに「大阪の地下鉄は東京と違ってわかりやすい」というような話を延々する奴。でもこちらが話題を振ると、少しでも自分の関心と違っていたら途端にラノベの世界に帰ってしまう。しかし、彼が帰って来なかろうが、私たちには結局何の差支えもないのだ。

ステージⅢのチー牛

 ステージⅢ以降のチー牛は悲惨である。
 通常の人はあくまでSNS上の交友関係はリアルの交友関係の副次的な空間である筈だ。しかし、ステージⅢのチー牛はインターネットで得られる利益が現実空間でのそれを大きく上回っているのだ。
 ここから普通に陰キャに戻るのは反省と大転換が必要である。7つも分霊箱を作ってしまって、普通の人間に戻れなくなったヴォルデモートのようなものだ。戻りたければ戻れるかもしれないが、戻ろうとしないだろう。
 まずTwitterアカウントを消し、YouTubeの再生履歴も全部消す。そしてアフィブログを周回するのをやめ、よいインターネットだけを摂取するよう心掛ける。現実社会での交友関係を再建し、インターネットへの依存度を下げる。ここまでしないと普通の陰キャには戻れない。難手術だ。

ステージⅣのチー牛

 ステージⅣのチー牛は、他害ゾンビに成り果てている。
 ネット以外も健全な友達はもう作れなくなり、妻子は夢のまた夢で、孤独死か孤独な老人ホーム生活しか見えない。
 住所は最早インターネットに移しても差し支えないくらいの市民、NETIZENネチズンになる。
 もっとまともな人生を送っていれば、よいコミュニティでよい地位を手に入れてるはずで、優しい父親とか、面白くて頼られる上司とか、そういう健全なアイデンティティを獲得していただろう。しかし、彼らには「日本人」という広すぎるものでしか自分を規定できない。
 40年間、友達にも異性にも譲歩してこなかったツケが回ってくる。
 少ない収入を御田寺圭や小山晃弘といった、学術界ではほとんど知られていないおっさんに貢ぎ、「自分が異性に譲歩しないでいい理由」「モテないのは女が悪いから」という言い訳を提供してもらう。はたまた暇空茜といった陰謀論者に傾倒し、彼の敗訴を一緒に待つ。そんな暇の潰し方しか手を出せなくなってくる。

罹患しないために

 このような恐ろしい病理に罹患しないためには、何ができるだろうか。
 最も重要なのは、悪いインターネットを遮断することだ。悪いインターネットはあなたを依存させることを狙って、機会がある毎にあなたと現実社会を遮断しようとしてくる。
 下のようなアドオンを使って、センセーショナルで悪いインターネットを視界から排除しよう。

 「5chまとめ」「Share News Japan」のようなコンテンツを見てネチズンの沼に浸ると、徐々に沈み込んで抜け出せなくなっていく。またTwitterでは「あなたはチー牛でもいいんですよ」「モテないのは女が悪いんです」という悪魔の囁きを吹きかけながら、弱者男性の呪いの手があなたを誘ってくる。チーズ沼に沈みだしたフォロー中のアカウントは見限り、えちえちな絵しか流れてこないタイムラインにするか、Instagramに移住しよう。
 しっかりと現実社会で、会社の同期や、クラスメイトに軸足を置いて、そこに楽しみを見出せば、わざわざインターネットで娯楽を収集しなくても済む話だ。インターネットはあくまで現実社会を円滑にするために副次的なコミュニティである。この自然な領分をインターネットに守らせ、決して現実を侵されてはならない。

周りはどう接すればよいのか

 「悪性のチー牛に話しかけられたりした場合はどうなのか」このような疑問が出ると思う。
 答えは一つで、悪性のチー牛とは一切関わらないことだ。
 塩対応をするのは失礼かもしれないと思うかもしれないが、これは重篤な病気であり、下手に親切にしてしまうと好意を持たれてしまう可能性がある。
 好意を持たれたとして何のメリットもない。悪性のチー牛が彼氏や夫になった情景を考えてみて欲しい。彼氏になれば、絶対に譲歩したり彼女の言い分を聞くことはないだろう。夫になったとして、料理の文句は言っても頑なに自分はキッチンに立とうとせず、少しは家事をしろと言ってもキレ散らかしてくるだろう。彼らには譲歩した経験がないのだから。
 「あなたのことは興味もないし、できる限り関わりたくない。」これをアピールすればあなたに呪いはかからない。ネットで陰口をたたかれるかもしれないが、所詮はインターネット、現実社会の添え物である。
 考えても見て欲しい。あれだけ弱者男性は女を叩く強い思想をインターネットで振りかざしているのに、それを広めるために辻に立って理解を呼びかけたり、署名を集めたり、家々を回ったりして外に出るチー牛がいただろうか。彼らは外と人間に怯えているのだ。

 チー牛はこの呼称を、「女による差別用語だ!」「女は暴力的なDQNに惚れるくせに優しい弱者男性には目も向けないんだ!」などと言うが、誤解である。チー牛の問題は女に留まらない。繰り返すが、男友達としてチー牛を遊びに招きたいだろうか?という話なのだ。男だろうが女だろうが、一緒に遊ぶ価値すらない男たちというのがチー牛の本質である。
 彼らの末路ははっきりしている。友達も恋人もいないまま、孤独に和室で死ぬ。彼らはインターネットの外に出てこない。我々が彼らの他害を防ぐ術はたった一つ。彼らをインターネットと和室に封じ込め、誰にも関わらせないことだ。


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