新たな業務を覚える際メモを取る必要があるのか否かを考察してみた
結論。私の場合は、メモを取る必要がある。
なぜなら、耳学問が不得手だからだ。発達障害グレーゾーンと言われる人は、どうやら脳の思考回路が他人様とは異なると言われている。その為なのかどうかはわからないが、私の場合は耳から入った情報を、脳内で整理できない。だから、その都度、要点を抽出してメモを取る必要がある。
しかし、こうした特性を無視して「メモするな!」と言われることもある。経験則では、50代60代に多い。また、そこまで指示する人の多くは「その場ではメモせずに後ほど思い返しながらメモすることが正しい」と強く思い込んでいる。勿論、この考えも一理あるのだが、私のような特性を持つタイプには当てはまらないから困ったものだ。
そこで、今一度、メモの必要性について考えてみることとした。
■メモを取る派の意見
先ず、メモを取る派の意見をまとめてみた。
・後ほど見返せるため
・何度も質問するとお手を煩わせてしまう
・文字化したほうが覚える
・ど忘れもあるから
・メモを取る文化のなかで過ごしてきた
■メモを取らない派の意見
次いで、メモを取らない派の意見をまとめてみた。
・話/アウトプットに集中できないから
・メモ(筆記)に集中してしまうから
・メモより実践が大事
・録音機器を使うためその場のメモは不要
・業務後に思い返しながらメモする
■ラーニングピラミッドとエビングハウスの忘却曲線
私とは異なるタイプ「メモを取らない派」について考えてみた。
●ラーニングピラミッド
たとえば、メモより実践が大事とは、ラーニングピラミッドのアクティブラーニングに該当する。ラーニングピラミッドとは、学習定着率を示した表である。学生時代に受験を経験した人であれば、一度は耳にしたことがあるはず。
メモは、ラーニングピラミッドの講義に位置するため、学習定着率は20%以下。一方、実践はラーニングピラミッドの体験に位置するため、学習定着率は75%を超える。
つまり、メモより実践が大事!という理論は、ここに該当すると考えられる。
●エビングハウスの忘却曲線
また、業務後に思い返しながらメモを取ることだが、これはエビングハウスの忘却曲線理論が該当する。
端的に解説すると、人の脳は忘れやすくできていると考えられていることについて説明する理論である。
たとえば、20分後の記憶保持率は58%程度、1時間後には44%、9時間後には36%、翌日になると33%。つまり、翌日は67%の記憶を失っているのである。
この理論の強みは、人は忘れる生き物であることを解説すると同時に、どうすれば忘れずに済むのかを説明している。
具体的には、記憶保持率が高いタイミングを狙って復習するほか、それらを繰り返し復習することによって、忘れにくくすする/覚えやすくすることができる。
つまり、記憶保持率が高い業務後=当日中に思い返しながらメモして、復習すると、高い効果を期待できるのである。
■メモの取る取らないの相違点の他、共通点もあった
前述で相違点について書きだしてみたのだが、これらには共通点もあった。会話のなかで気づいたことだが、双方の共通点は「普通は」「当然」「当たり前」と言っていたのである。
たとえば、「普通はメモをとる」「当然メモをとる」「メモは取らないことが当たり前」など、と口にしている。ここから推察してみると、当人にとって確立した手法であることが言える。
確かに、業務遂行にあたって、物事を一早く覚えるために当たり前化することは必要ではあるが、その一方で自身とは異なるタイプへの教育の際「自分とは違うタイプかもしれない」観点をなくし、視野を狭くしてしまうリスクは否めないのではないだろうか。
■メモを取る派・取らない派の前に考えておくべき事
メモを取ることが重要なのか、それとも取らないことが重要なのかといった論争の前に、そもそも考えておくべきことがある。
それは、本人にとって、どの方法が安心かつ加速度的に覚えられるのかということだ。
私は、発達障害のグレーゾーンだ。耳学問が非常に苦手で、耳から得た情報を脳内で整理できない。
エビングハウスの忘却曲線では、20分後の記憶保持率は58%とされているが、私の場合はそもそも情報が脳内にとどまらない。つまり、すぐさま忘れてしまうため、記憶定着率以前の問題だ。
こうした特性の人間は、ポイントを押さえてメモすると、文字をみて思い返すことができるほか、言葉の認識→文字を書く→見る→理解する→発言する→自身の言葉を聞く等して五感を活用できるため、メモを取る必要性が高い。
だがその一方で、メモを取ると実践時間が減るため、あとからメモをするほうが効率がいいと考える人もいる。
どちらにせよ、「普通は」「当然」「当たり前」などのワードは、その他の方法を考えないを無意識下で選択していることを覚えておきたい。
ここから得た教訓は、メモを取る派であっても取らない派であっても、自分とは異なるタイプがいて、人によって学び方は異なるということ。
常に、相手の立場になって考える必要があると、改めて気づかされたのである。
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