【楽曲語り】走れ・前編〜強くなんて、ならなくていい【まいにちFinally・day36】
こんにちは!灰色です。
いよいよ3/26バンドワンマンまであと……4日!
昨日は #ドル談 さんにも出演させていただき、緊張しながらも布教活動をさせていただきました。アーカイブもございますので、是非どうぞ!
というわけで、ここから後はひたすらラストスパート!まいふぁいもギリギリまでFinallyを盛り上げていきたいと思います。
そんな今回の記事も楽曲語り!取り上げるのは「走れ」です。
初の完全なコラボレーション
「Rock’n’roll Shooter(ロッケン)」から始まった5ヶ月連続新曲リリースの3曲目に発表されたのが、この「走れ」です。
都合により走れないAoiがレコーディングに松葉杖🩼で参加するという、やべきょうすけ氏いわく「ロックそのもの」な逸話も持っているこの曲ですが、その辺りのトークは一旦横に置いておきましょう。
今回、作曲を担当したのはtaka(ex.ミオヤマザキ)氏。ロックバンド「ミオヤマザキ」は2022年12月24日に解散したものの、当日LIVEに参加していたやべ氏をして「takaは天才」と言わしめていました。なんか今日やべさんの話多いな。
我らが赤のリードボーカルRinkaも、以前から同グループとtaka氏の楽曲の大ファン。そんなところに到来したこの好機では、なんとtaka作曲、Rinka作詞という初のコラボレーション形式で制作が行われました。
なぜわざわざこのような言い方をしたかといいますと、従来Finallyの楽曲はセルフプロデュース作詞の曲(作曲はSHIBU氏、春陽氏など)が中心であり、そこへ「WILD BRAVE」(作詞作曲・草野華余子女史)以降は外部アーティストによる作詞作曲フルプロデュースという形式が加わりました。
その後の連続リリースシリーズでも、感覚ピエロ横山氏による「ロッケン」は後者、「WINNERS」は前者ですね。
つまり、「走れ」はこれまでのFinallyにはなかった、ロックアーティスト作曲+メンバー作詞という融合形態の楽曲です。しかも制作にあたっては、taka氏のデモテープを元にRinkaが作詞→レコーディングにはtaka氏も立ち会って歌唱のディレクションを行う、というステップで企画が進められました。彼女は間違いなく、これ以上ないほどに高いモチベーションで制作に臨んだことでしょう。
これにより、「走れ」は百戦錬磨のtakaサウンドによる独創的なトラック+Rinkaの情熱的で心に訴えかけるリリックという、いわばFinallyソングの一つの究極形としての完成度を誇る楽曲となったのです。
今回はそんな大傑作「走れ」について、これまで同様の歌詞考察を中心に掘り下げていきましょう。
夢のヒーロー
「バトルゲームをイメージして作詞した」。「走れ」のステージ初披露となった1月の単独LIVE「ROAD to ONEMAN」にて、Rinkaはそう語りました。実際のトラックにも、冒頭の銃のリロード音にも聞こえるSE、(TV)ゲーム的なサイバーメロディ、エネルギーをチャージするような音、ロボット音声を思わせるエフェクトなど、これまでになかったサウンドが満載。
デモトラックの時点では特にゲームをイメージしたという話はなかったそうで、Rinkaは「taka氏の遊び心が入ったサウンドから連想して詞を書いた」とのことです。
そんな彼女が書いたワード群は「ライフゲージMAX跳ね上げろ」「一斉射撃制御不能」と、完全にゲームワールド全開。
さらに、具体的には彼女が大好きなスプラトゥーンを真っ先にイメージしたそうで、「自分色に染め尽くせば」「ギアかっ飛ばして」「もう一歩」など、同ゲームならではの用語がこれでもかと織り込まれています。見る人が見たら分かるリリックビデオは必見!
そんなエンタメ色の楽しい「走れ」ですが、Rinkaは同じくお披露目の際に「ゲームの主人公は現実の自分と違うパワーを持っている。そんな主人公になった気分で、強くなった気持ちで聴いてもらえれば」とも語りました。ロールプレイングのように楽しめる楽曲ということですね。VRが盛り上がっている現代にも相応しく、スティーブン・スピルバーグ監督の映画「レディ・プレイヤー1」的なテイストも感じさせます。
無敵の主人公になれなくても
そんな「走れ」は、しかしラストの落ちサビでこのように歌っています。
「ゲームキャラのように強くなった気分で」という言葉と、最後の「強くなんてならなくていい」。二つの正反対なメッセージを、どう解釈すべきなのでしょうか。実際に私も、つい先日まで頭を悩ませていました。
そんな中、たどり着いた仮説が一つの答えです。
「ゲームの主人公になれなくても、ヒーローみたいに強くなれなくても、君はそのままでいい。もう一歩でも前へ、踏ん張って前向いて、君のままで走れ」。
縦横無尽に武器を振り回して戦う無敵のキャラクターから、最後には今ここにいる自分自身へと視点が戻ってきます。
画面から離れた現実の自分は弱くて、不器用で、他人を知らぬ間に傷つけてしまうような人間かもしれません。
それでも、そのままでいい。無理に強くなんて、ならなくていい。
自分らしく生きて、未来で待つキミのところまで、全力で走れ。
そんな、優しくも堂々たるメッセージです。
君のままで走れ
今ここにある自分を肯定して、ありのままで生きること。その大切さを歌う姿勢は、「君は君で、そのままで」とも共通しています。
楽曲の歌詞自体がファンからFinallyへ贈りたい言葉にもなっているという「双方向性」の強さが、「君君」を特別なものにしています。
一方の「走れ」は前半で空想の自分を謳ってからラストで現実に戻ってくるというストーリー性があり、こちらもまた凡百の「ありのままでいいよ」ソングとは一線を画しています。
さらには、Rinka作詞ということを考えると、決して「走れ」はバーチャルな世界を否定しているわけではないということも分かります。むしろ彼女が伝えたかったのは、大好きなゲームの世界から勇気をもらうことで、同じようなヒーローにはなれなくても、その精神は強くいられるという、Rinkaなりの感謝と決意表明ではないでしょうか。
taka氏の遊び心たっぷりのトラックに、過去から一貫しているFinallyらしいまっすぐで優しさに満ちた姿勢。さらには、Rinka自身のゲームワールドへの深い愛情。
それらが完全な調和を果たしたことで、「走れ」はその形式だけでなく、真の意味で一つの到達点とも言えるエポックメイキングな作品となったのです。
ここまでお読みいただき、ありがとうございました!
……お気づきの方はいらっしゃいますでしょうか?
ここまでが「前編」です。
頭おかしいのかこいつ?もうラストまで語って綺麗に締めたろ?
おっしゃる通りです。
ですが、今回は「Rinkaの語りを中心に、彼女が伝えたかったことを掘り下げた」に過ぎません。
ここからがマグマなんです。
私は特典会でのヒアリングなどを元に今回の結論に辿り着きましたが、走れをさらに聴き込むうち、この曲が秘めた新たな面が見えてきました。
よって、次回後編は完全な自己解釈となります。
以前語った「テクスト論的な読み」に近いものかもしれません。名作はときに作者の意図を超え、それ自体が自立して生き、より広範で自由な解釈を可能とするのです。
Finallyの楽曲はアイドルソング・ポップス・ロックといった区分を超えた特質と普遍性を併せ持っており、多彩な解釈を加えてこそその真髄が見えてきます。後編ではその一例をお伝えできればと思います。
それでは皆様、また次回のまいふぁいでお会いしましょう!
〜今日のシェア〜
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