死ぬと言って油をかぶる母

この映像は私のフラッシュバック映像の中でも再現の頻度が高い。

母は私が小学生の頃、統合失調症を患っており
治療についてや家族のこと、
様々なことで死にたくなったり奇行に走り、
なだめる役はいつも私だった。

ある日の朝、父と言い争いをしていた母は
少し落ち着いたかと思ったら
キッチンで静かにオリーブオイルを頭からかぶっていた。

私はオリーブオイルはガソリンのように
すぐに火がつくと思っていてかなり焦った。

キッチンの床はオリーブオイルでいっぱいになり
母はオリーブオイルに塗れた。

父が祖母に言ってすぐにお風呂を貸してもらった。

(祖母宅に居候していたため、お風呂は祖母の許可制だった)

湯船はオリーブオイルでドロドロになった。
ついでと言ってその日は私もお風呂に入った。

母に何も話しかけられない。
大丈夫?と聞いてみたら「大丈夫」と言っていて
少しだけその時は安心した。

父は何をやっていたのだろうと思う。
その場にはいないしどこかに行ってしまっていた。

今もオリーブオイルを見るとそのまま手に取って
頭からかぶる母の姿を思い出す。

薬の副作用で太り、おしゃれもできず
社会に馴染まない母の姿だ。

そして私もそっくりじゃないかと不安になるのだった。

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