幸せの1ピース
今年はピザを食べる機会が比較的多かったように思う。多かったと言ってても数ヶ月に1回程度だ。ピザが大好き、ピザなしでは生きていけないと言うほど好きなわけではない。ただ、ピザを口にすることができるのが嬉しいのだ。
小学校に上がるくらいに乳製品アレルギーが判明した。障害児のための施設に入所していた頃は施設内では一切の乳製品を取ることができず、周りの子たちがビスケットを食べているそばで、私はおせんべいや麦こうせんなどを与えられた。それは子供にとって正直あまりおいしいとは思えなかった。牛乳の代わりに出された豆乳は、今とは比べ物にならないほどまずかった。あまりにも不味すぎて飲めなかった。
現在はアレルギーのある人向けの代替食品があるが、当時そういうものはなく、美味しくないものや食べたくないものを食べなくてはならない日常が苦痛であった。
しかし、夏休みや年末年始の外泊期間は家庭ではほんの少し乳製品を口にしていた。ケーキの1ピースも食べられないし、チーズ味のカールも、チョコレートも1口弱ほどしか食べられない。当然乳成分が濃いチーズが入ったピザは2口~3口がやっとだ。
施設を退院し家庭で暮らすようになっても、やはりたくさんの乳製品を口にすることができない。幸い軽度で、その場ですぐ症状が出ることはめったになかったので、体調見ながら後で痒みが出るのを覚悟して食べていた。そうやって食べる乳製品は、ちょっとした”罪悪感”もあって美味しかった。
経口免疫療法というものがあるように、今思えば少しずつ口にしていたのが良かったのかもしれない。
ある一定の年齢を過ぎた頃からアレルギーが出づらくなった。少しずつ乳製品の量を増やし、今ではパンにバターを塗ることができるし、ヨーグルト1カップも平気だし、チーズケーキ1ピースも食べられる。
そしてピザだ。おいしいのに食べられないことほど辛いものはない。それが今では食べられる。体調によっては後で若干痒みが出ることはあるが、お腹いっぱいになるほど食べられる。
少し寂しいのは食べられるようになった今、食がだいぶ細くなり、サイゼリヤのピザ1枚を食べ切ることができないことだ。
昨日大型ショッピングモールで食材を買っていた時に、惣菜コーナーでピザを見つけた。ホールの半分、4ピースのピザだ。それを母と2人で分けて食べる。つまり1人2ピース。たいした量ではないし、大手の高いピザに比べたら具も少ししか載っていない。
しかし、アレルギーのことなど何も気にせずに食べられる。
この幸せはアレルギーが全くない人にとってはわからないだろう。
つまり私は歳を重ねて、アレルギーがない人が知らない幸せを1ピースGetしたのだ。
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