【ショートショート】ひだまりの距離
図書館の窓際の席は、日差しが暖かく心地よかったけれど、廊下からの冷気が時折カーテンを揺らし、少し肌寒かった。吐く息が白く見えるほどではなかったけれど、膝掛けとカイロが手放せない。先週風邪で休んでしまった分のノートを、佐々木君に見せてもらっていた。
「えっと……この問題、まだよく分からないんだけど……」
数学の問題集を指差すと、佐々木君は少し考えてから、「じゃあ、一緒に見てみようか」と言って、私の隣に座った。心臓が跳ねる。さっきまでノート越しに見ていた距離が、嘘みたいに近く