タイさんの取材ヨレヨレ日記⑮ 広報部は出世コース
経済記者をしていると、広報部の方々との付き合いが多くなります。取材のたびに顔を合わせます。
私が記者として現場を回っている頃は、新人社員や就職希望の学生にとって、広報部は人気の職場でした。企画部門、国際部門の頭文字と合わせて、「人気の3K職場」と言われたものです。
人気になるのも当然です。広報部のメンバーは若いころから、記者会見やインタビュー対応の場などで、会社のトップたちと接する機会が数多くあります。社員数が万人単位の大企業では、若手社員がトップと一緒に働く機会などめったにありません。「仕事ぶりが幹部たちの目に留まったら、出世コースに乗れるのでは」と期待する社員も多いのでしょう。
実際、広報経験者が出世するケースは、少なくありません。私が取材でお世話になった方々も、大手保険会社や飲料メーカー、銀行など様々な企業でトップの座に上り詰めました。
最近は民間企業だけでなく官庁でも、広報・報道部門に優秀な人材を配属するケースが目立っています。官僚といえば、かつては「内向き」職場の代名詞。直属の上司や大臣、族議員らの目ばかり気にする人が多かったことは否定できません。
しかし、中央省庁も数々の不祥事などを経験して、記者の向こう側にある国民の目を意識する重要性を学びました。内向きの姿勢では時代の変化に乗り遅れることに、官僚たちも気づいたのでしょう。「国民への窓口となる広報部門を経験することが、次官レースの近道」となる時代は、そう遠いことではない気もします。
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